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幻想甲虫録
刻まれし始まり 前編
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しょ?してもしなくても問題ないわ」

小鈴「いえ、問題かと………そういえば霊夢さん、こんな本が出版されているんですけど」


取り出したのは、ある1冊の本。それを手にしてタイトルを見るなり、霊夢は禍々しい怒気を放った。


霊夢「………誰よ、この本出版したの。てか、何このタイトル?『博麗神社の巫女、博麗霊夢。本当に人間なのか?』って……」

小鈴「わ、わわわわ私じゃないですよ!?」

カルボナーラ「………」


本を片手に小鈴の襟元をつかんで睨みつける霊夢。乱暴はダメ、あと静かにしてというような目で霊夢を見つめるカルボナーラ。
一方ではソウゴがちょうど終わりのページに目を通していた。


ソウゴ「ねえカルボナーラ。他にこの本に関連する本はない?」

カルボナーラ「………(あるよ)」


本を読み終えたソウゴに対しカルボナーラが新たな本を渡した。霊夢はまだ小鈴の襟元をつかんで怒りを飛ばしていた。


カルボナーラ「………(止めてくる)」

ソウゴ「うん。ごめんね、霊夢があんなで」

霊夢「ちょっとソウゴ、それどういう意味?」

ソウゴ「何でもないよ。あと読み終わるまで待ってね」

霊夢「はぁ……とにかく、この本燃やしてよ」

小鈴「燃やすなんてダメです!!」


無口なカルボナーラが何を言いたいかは小鈴にしかわからないはず。
なのにソウゴもカルボナーラの言いたいことがわかるのは、なんかわかる気がするらしい。


霊夢「あーもう…とりあえずソウゴ。いつまでもここにいるわけにはいかないし、日が暮れちゃうし、早く昼ご飯の買い物済ませちゃうよ」

ソウゴ「うん」





鈴奈庵の外にて。小鈴とカルボナーラに別れを告げ、昼食の材料の買い物に行こうと店まで足を運ぼうとしたその時だった。


???「目的のカブトムシはっけーん!」

霊夢「ふぇ?」

ソウゴ「ん?」


突然背後から黄色い洋服と緑のスカート、黒い帽子を身につけた少女に声をかけられた。少女の名は『古明地こいし』、種族は覚り妖怪。地霊殿の主人『古明地さとり』の妹である。
頭の上にはパートナーなのか、こいしと同じ帽子を被り、首に緑のスカーフを巻いたグラントシロカブトが乗っていた。


霊・ソ「「…………」」


急に現れたこいしとグラントシロカブトにポカンとする霊夢とソウゴ。するとグラントシロカブトがソウゴに目を向けたかと思うと、頭上から飛び上がってホバリングし、恭しい態度と共にお辞儀しながらこう言った。


グラント「初めまして、若き姿の『我が魔王』」

ソウゴ「はい?」

霊夢「えっと……こいし?」


我が魔王?ソウゴが魔王?
わけがわからず頭の中
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