第二章
[8]前話
「今に至ります、その間エリーも治療を受けて手術も受けて」
「元気になったんですね」
「まだ身体は弱いですが普通に暮らせる様になりました」
「それは何よりですね」
「そして今もです」
「ああしてですね」
「エリーに寄り添っています」
見れば父親の様だ、彼女を優しい目で見て傍にいて見守っている。
「ああして」
「そうですね、では」
「これからもですね」
「そういられる様にです」
その様にというのだ。
「して下さい」
「それでは」
「ワンワン」
「パオン」
ドゥーマはエリーに優しい声をかけて傍にいてだった、そうして。
エリーはその彼に全幅の信頼を寄せているのがわかる位に寄り添っていた、モッカはそんな二人を見て自然と笑顔になった。
そしてタイのある動物保護施設に入った時に。
「パオン」
「パオーーン」
そこにいた子供の雄の象が群れの中に入って特に群れのリーダーと思われる老婆の象に優しくされているのを見て現地のスタッフの一人プミプーラ=アッチャラーンに話した。痩せてやや小柄で褐色の肌で黒髪に癖のある微笑んでいる顔の青年だ。
「あの子供の象がですね」
「はい、ドクゲーオといいまして」
アッチャラーンも話した。
「労働用だった母親が死んで孤児になって」
「それで、ですね」
「ここに来たんですが」
それでもというのだ。
「群れにすぐに迎えられて。ここに来た瞬間に皆が駆け寄ってきて」
「象達がですか」
「それで迎え入れてリーダーのシータが」
「あのお婆さんがですね」
「特に優しくしてくれています」
「象は優しいですからね、相当障害があると仕方なく見捨てることもありますが」
エリーのことを思い出しつつ話した。
「ですがもう生きていけない限りは」
「ああしてですね」
「迎え入れます、本当にいい生きものですね」
「全くですね」
「だからこそ我々もそうした生きものと理解して」
そうしてというのだ。
「接していくべきですね」
「その通りですね」
アッチャラーンもその通りだと頷いた、そうしてだった。
モッカはこの施設でも多くのことを学んだ、そのうえでアメリカに帰ってまたバブルスとベラを見てそうしてヘッケナーに南アフリカとタイで見て来たものを話した、するとヘッケナーもこう言った。
「象はそうした生きものですね」
「そして犬も」
「そのことを理解して」
「これからもやっていきましょう」
「そうすべきですね」
二人で話してそしてだった。
バブルスとベラをまた見た、二匹は今も仲良く遊んでいた、そこにあるものは絆そのものだった。
孤児となった象 完
2021・7・18
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