第二章
[8]前話
黒い部分もあるが殆ど白かった、二匹はとても仲がよさそうにして店の中でくつろいでいた。その猫を見て夫婦は言った。
「兄弟か姉妹かな」
「そうみたいね」
「随分仲がよくて顔立ちはそっくりだから」
「毛の色は違っていても」
「姉妹なんです」
二人が今いるカウンターの中から長い金髪の眼鏡の若い女性が言ってきた。
「この家の娘のワルトラウト=ニコルといいますが」
「その娘達はですか」
「はい、姉妹で」
それでとだ、二人にドイツのビールを出しつつ話した。
「名前をエリーとメリーといいます」
「ニャ〜〜〜」
「ミャ〜〜〜」
二匹は仲良くカウンターにいて鳴く、ブルースは今は宿泊先のホテルに預けているので今は二人だけだ。
「家族で猫を飼いたいと言っていたら丁度家の近くで二匹で子猫の時弱っているところを保護しまして」
「それで、ですか」
「一緒にですか」
「暮らしはじめたんですが」
ワルトラウトは二人にさらに話した。
「エリーが途中から毛が白くなって」
「それでですか」
「ああなったんですか」
「そうです、獣医さんに診せたそうした症状で人が子供の頃金髪だったのが大人になるにつれて黒くなったりすることと同じで」
それでというのだ。
「別に命に問題はないそうで安心しています」
「それでしたら」
ここで夫婦はワルトラウトにブルースのことを話した、するとだった。
ワルトラウトは何度も頷いてそうして言った。
「そうしたこともあるんですね」
「毛の色も変わりますね」
「そうですね」
「そうですね、そうしたことはありますね」
「毛の色は変わることがある」
「ですが気にすることはないですね」
「それで死ぬ訳でもないですしね、じゃあいいお話を聞かせてもらったので」
それでとだ、ワルトラウトは。
二人にソーセージを出して笑顔で言った。
「これはサービスです」
「それはどうも」
「いただきます」
「どうぞ」
笑顔で言うワルトラウトだった、夫婦はそのソーセージにビールを楽しんでだった。
ホテルに帰ってブルースにご飯をあげて頭を撫でた、黒猫になった彼はドイツでも元気だった。夫婦でその彼も見て笑顔になった。
毛が変わる猫 完
2021・7・18
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