第一章
[2]次話
毛が変わる猫
ニュージーランドオークランドに住んでいるキャスリン=ヴァン=ビークの職業は作家である。金髪を長く伸ばしアイスブルーの目が知的な印象を与える。面長で鼻が高く中背で胸がある。
その彼女がだ。雨の日水に溢れた道の脇で溺れて死にかけている何かを見た、そして一緒にいる夫のチャールズ長身で鷲鼻にグレーの目とブラウンの髪を持つ彼に言った。
「鼠?」
「いや、猫みたいだよ」
夫もその生きものを見て言った。
「どうも」
「そういえばそうね、まだ臍の緒が付いてるわ」
「母親は傍にいないのかな」
「探しましょう、ただ」
それでもとだ、妻は夫に言った。
「この子このままだと」
「溺れかけているしね」
「危ないわ、母猫を見付けても」
「病院には連れて行かないとね」
「そうしましょう」
こう話してまずは周りを調べた、子猫はすぐに助け上げた。
だが母猫も他の猫もいなく二人は動物病院に向かった、すると。
「暫く入院してもらいます」
「そうですか」
「かなり危険な状態なので」
それでというのだ。
「そうさせてもらっていいですか」
「はい」
キャスリンもチャールズも頷いた、そしてだった。
二人は猫を暫く入院させた、すると。
猫は動物病院のスタッフやヘルパーの介護を受けてだ、そうしてだった。
六週間後退院した、その時は猫はグレーの毛のままで目は青だった、夫婦はこの猫が雄だったのでブルースと名付け家の中に迎え入れた。
ブルースは明るくやんちゃな子であった、だが。
次第に体毛が黒くなり目は緑がかってきた、それで夫は妻に言った。
「今じゃすっかり黒猫になったけれど」
「ええ、気になるわね」
「ちょっと獣医さんに診てもらおうか」
「どうして毛や目の色が変わったかね」
「そうしてもらおう」
「それがいいわね」
こうして二人でブルースを最初に診てもらった獣医にまた診せると獣医はこう答えた。
「これは母猫の出産時のストレスで」
「こうした色になっていたんですか」
「毛はグレーで目は青で」
「こうしたこともあります」
こう二人に話した。
「実は」
「そうでしたか」
「そうしたこともありますか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「命に別状はないですし後遺症とかもです」
「ないんですね」
「だからですね」
「安心して下さい、この子は元気に生きていけますよ」
「ニャ〜〜〜」
事実ブルースは病院でも元気がよかった、すっかり黒くなった彼は家で元気に暮らした。
夫婦がそのブルースを連れてドイツに旅行に行った時に寄ったビアホールに二匹の稲子がいた。一匹は上が黒下が白の八割れでもう一匹は。
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