第二章
[8]前話
「そうそうないよ」
「毎年この季節、冬になったら」
その時にというのだ。
「朝と夕方はいつも来て」
「毎日なんだ」
「メッテさんの手作りのケーキとロールパンを貰ってるんだ」
「成程ね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「メッテさんの手からね」
「貰ってるんだ」
「そうなんだよ」
「成程ね」
「そう、そして」
彼はさらに言った。
「そろそろ夕方だから」
「ああ、その人からだね」
「ご飯貰うよ、ほら」
こう言った時にだった。
家の窓が開いて白髪の八十歳程の老婆が出て来てだ、トナカイに挨拶をした。
「フリッペンまた来たんだね」
「ヒヒン」
「じゃあご飯あげるね」
こう言ってだった。
自分の手からケーキやロールパンをあげた、するとトナカイは嬉しそうに食べた。それを見てだった。
ピエールはこれはという顔になってビジネスパートナーに言った。
「いや、いい光景だね」
「そうだね、毎年冬になったら」
「ああしてだね」
「メッテさんのところに来ているんだ」
「そうだね、鹿でも人と仲良くなれる」
「野生でもね」
「そうなんだね、いいことを知ったよ」
彼は笑顔で言った、そしてノルウェーで仕事を順調に進めて終わらせた。そうしてそのうえでだった。
アメリカに帰ってそのえで妻にこのことを話すと妻も息子とのことを話した、すると二人でそれはとなった。
「成程ね」
「鹿でもね」
「人と友達になれるんだね」
「そうね、ドミニクもそうで」
「ノルウェーのお婆さんもで」
「皆で」
「仲良くなれるんだね」
こう二人で話した。
「いや、いいことを知ったよ」
「お互いそうね」
「そう思うと鹿もね」
「大事にしていかないとね」
二人で笑顔で話してだ、そしてだった。
それから二人も鹿が大好きになった、息子と一緒に鹿を見てそのうえで笑顔になった。彼等がとてもいい生きものだと知ったからこそ。
鹿はお友達 完
2021・7・18
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