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幻想甲虫録
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2068年の幻想郷、人間や妖怪を問わず人々ががいなくなった時代………幻想郷の甲虫たちは1匹のカブトムシによって支配されていた。
そのカブトムシは他の甲虫たちに畏怖され、ひどい仕打ちを受けても強く言うことはできなかった。
抗う者もいた。『レジスタンス』はその甲虫を始末するため、不満を持つ甲虫たちを集め、襲撃を試みたものの、強大な力によって全滅させられてしまう。そして決まってどこか悲哀に満ちた目をしていた。










レジスタンスが全滅したその日のこと。ある甲虫は言う。


オオクワガタ「甲虫の魔王……我々は………レジスタンスは………諦めんぞ………!我々を滅ぼしても………次の世代が………いずれ…………!」

甲虫の魔王「無理だな」


低く威厳のある声でカブトムシは全てを否定するように答える。


オオクワガタ「何……!?」

甲虫の魔王「例えどれだけの力をつけようが、どれだけの数で攻めてこようが、お前たちに私を倒すのは不可能だ。なぜかわかるか?」

オオクワガタ「………」

甲虫の魔王「私は『《《生まれながらの王者》》』だからだ。そして王者であるならば、どんな存在でも負けるわけにはいかないのだ」

オオクワガタ「………化物……め………………」


レジスタンスの最後の1匹、リーダーであろうオオクワガタが息絶えた。
周りではレジスタンスを倒したカブトムシの圧倒的な力に生き残りの虫たちが恐れおののいていた。甲虫の魔王と呼ばれたカブトムシは玉座に戻り、一面不気味に赤く染まった空を見上げながら呟く。


甲虫の魔王「………そうだ、負けるわけにはいかない。負けてしまったからこそ、私は……彼らを…………」


全身黒い体に黄金の角を持ったカブトムシ。その名は『ダークロードバグ』。『甲虫の王者』にして、『甲虫の魔王』と呼ばれた甲虫だった。


ダークロードバグ「霊夢……魔理沙……ギルティ……ゲイツ……私は…………」


少し離れた地には『甲虫の魔王になる前のカブトムシ』と『たくましい角を持ったコーカサスオオカブト』の石像、そのそばには彼らのパートナーであろう巫女の『博麗霊夢』と魔女の『霧雨魔理沙』の石像が置かれていた。















2018年、現在の幻想郷。あるカブトムシには誰にも譲れない夢があった。そのきっかけは人里の貸本屋、鈴奈庵で『外の世界でかつて森の平和を守った1匹のカブトムシの英雄がいた』という伝記を読んだ。
カブトムシの英雄、すなわち彼は『ムシキング』と呼ばれ、森の守護者として崇められていた。
そんな『ムシキング』を見て、憧れを抱き、そのカブトムシは決意する。自分も『甲虫の王者』になりたいと……『ムシキン
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