暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第89話:そして動き出す
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性の顔に思わず顔を強張らせる。
「そんなに警戒しないでください。少しお話でもしませんか? きっとあなたの力になってあげられますよ」
そう言って笑みを浮かべるウェル博士。未来は彼の口にした力になるという言葉に興味を抱いた。
「私の……力?」
「そう…………。あなたの求めるものを手に入れる力です」
ウェル博士の言葉に耳を傾ける未来の姿に、セレナは既視感に近いものを感じた。今の彼女の様子は、誰かに似ている。
「未来さん……あなたは――」
「さ、セレナ。そろそろ部屋に戻りましょう。あなたはただでさえ体が弱ってるんだから……」
「あ…………」
未来に向けて何かを告げる前に、マリアがセレナの車椅子を押して部屋へと連れて行く。セレナは名残惜しそうにしたが、抵抗する術はないのでマリアに促されるままに部屋へと連れて行かれてしまったのだった。
***
それから数日後の事、事態は突如大きく動いた。
「ノイズのパターンを検知!」
「米国所属艦艇より応援の要請!」
突然の米国艦隊からの応援要請。発令所のモニターには米国の大型空母を中核とした艦隊が存在していたが、その甲板からは無数の黒煙が立ち上っていた。カメラの映像をズームすれば、そこには無数のノイズと魔法使いが米国兵と戦闘をしている様子が映し出されていた。
通常兵器で太刀打ちできないノイズに加え、魔法使いの攻撃も加わって米国艦隊は既にボロボロだった。モニター中では今も米国兵が必死に抵抗する中、ノイズやメイジに次々と仕留められていく様子が映し出されている。
このままだと彼らは確実に全滅するだろう。それを黙って見ている事など出来なかった。
「この海域から遠くない! 急行するぞ!」
「皆俺の周りに集まれ。一気に飛ばすぞ」
弦十郎の指示に慌ただしくなる発令所で、颯人の言葉に戦闘要員が集まる。
当然響もその中に加わろうとしたのだが――――
「わ、私――」
「死ぬ気かお前ッ!?」
一緒に現場に向かおうとした響だったが、案の定と言うかクリスにより引き留められた。
「ここに居ろって、な? お前はここから居なくなっちゃいけないんだからよ」
「そう言う事だ、響。精々あたしらが未来を連れて帰るのを楽しみに待ってな」
クリスと奏に説得され、それでも不満そうな顔をする響だったが2人の言い分も分かるのか大人しくなった。未来が心配なのは変わらないが、彼女らの心配も分かると言った心境か。
それでも未来が心配で食い下がる響だったが、現状響を前線に出す事はリスクでしかない為結局彼女は待機と言う事になった。
「安心しろって。あたしらで未来を見つけて連れ戻してやるから」
「……はい」
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