暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第89話:そして動き出す
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付けばどちらが勝つかで盛り上がったりした。

 そんなこんなでその日の特訓は終了となった。因みに生卵早飲み競争は颯人が僅差で勝利を収めた。




***




 エアキャリア内に1人の女性の優しい歌声が響いていた。セレナの歌声だ。基本エアキャリア内の自室のベッドから動けない彼女だが、それでも偶には部屋以外の光景を見たいと言う彼女の要望に応えて、ナスターシャ教授が使っている電動車椅子の簡易版が与えられていた。これのお陰で彼女はある程度自由に移動が出来る。

 今彼女が居るのは、エアキャリア内の格納庫だった。何故こんな所に居るのかと言えば、未来がここにある檻に閉じ込められていると聞いたセレナが、1人格納庫に置き去りにされた形の未来を心配してやって来たのである。

「あの……」
「――あ、はい?」

 未来には色々と聞きたいことがあった。いきなりやって来て何故歌うのかとか、分からない事は山程あるがとりあえず直近で聞きたい事は1つだった。

「何で、私を助けたんでしょう?」
「多分、放っておけなかったんだと思います。姉さん、優しいですから」
「姉さん? マリアさんが?」
「そうです。私の自慢の姉さんです」

 嘘偽りのないセレナの本心だ。例え世界に喧嘩を売るという暴挙を行おうと、セレナにとってマリアは愛すべき家族であった。

「意外でしたか? 姉さんが人助けって……」
「い、いえ……」
「ふふ……多分、何か理由があるんだと思います」
「理由?」
「分かりますよ。姉さんの事、ちょっと怖かったんですよね? 世界に宣戦布告したんですもん、当たり前です。でもそれも、皆の為を想っての事なんです。そう言う人なんですよ、姉さんって……」

 そう言ったセレナの顔は、何処か愁いを帯びていた。愛する姉が多くの人々から畏怖されてしまっている現状に、そしてそんな姉に対して何もしてやれずにいる自分に歯がゆい思いを感じているのだ。

「こんな所で何をしているんですか?」

 そこへウェル博士がやって来る。隣にはマリアを伴い、マリアはウェル博士を横から睨んでいる。

「この人が1人でこんな所に居るの、寂しいだろうと思って……」
「そうですか……」
「それより、そろそろ教えてもらえないかしら? 何故彼女をここまで連れてこさせたの?」

 あの時、崩れつつあるスカイタワーから未来を救出したのはセレナの言う通りマリアの意思だ。だがここまで連れてきたのはウェル博士の指示だった。マリアは訳も分からず未来をここまで連れてこさせられ、その理由の説明が未だにない事に不満を抱いていた。

「勿論、計画遂行の一環ですよ」

 未来の前にウェル博士がしゃがみ込む。レーザーの檻越しとは言え目前に迫った敵組織の、それも男
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