暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第89話:そして動き出す
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係なく思いっきり体を動かせてテンションが上がり、加減を忘れてしまっていたらしい。その事をクリスに謝った。

「はぁ、はぁ……き、気にすんな透。ふぅ、はぁ……別に、お前は何も、あわっ!?」

 ただでさえ疲労で走るのも大変な中で、喋る事に意識を割いてしまったからかクリスがバランスを崩してしまった。そのまま前のめりにこけそうになったクリスを、透が咄嗟に支えてみせる。

「あ、とと……わ、悪い透……」

 透に抱き留められ、クリスは彼に謝った。支えてくれた事は素直に嬉しいが、お陰で彼が自分共々集団から外れてしまった。走っている間は良かったが、一度止まってしまえば体力が限界なクリスには追いつく事は難しい。
 それに透や他のメンツを突き合わせるのは申し訳ない。

「透、先行ってくれ。他の連中も……あたしは後から追いつくから……」

 自分はこれ以上透達について行けないと、1人後から追いつく事を告げるクリスだが透はそれを認めなかった。ここで彼女を置いて行くようで、今後の戦いと共に生き抜く事など出来ようか。

「え? わわっ!? と、透!?」

 透はクリスの背中と脚に手を回すと、躊躇なく彼女を横抱きにしてそのまま走り出した。華奢な少女とは言えクリス1人を抱えて走ったので、先程に比べて明らかに速度が落ちている。

「ちょっ!? 透下ろせッ!? あたしはいいからッ!?」

 クリスの抗議に構わず透はクリスを横抱き――所謂お姫様抱っこ――で走り出す。流石に華奢とは言え少女一人を抱きあげて走るのは彼でも大変なのか、先程に比べて速度は落ちているがそれでも集団に追いつくことは出来た。

 横抱きにされながら集団に追いついたクリスの姿は、当然ながら颯人達の目に留まる事になる。

「お? 何だい何だい、1人楽してるねぇクリスちゃんや?」
「お〜お〜、羨ましい」
「雪音、どんな気分だ?」
「クリスちゃん顔真っ赤〜!」
「う、うるせぇ!?」

 辺りに弦十郎の歌と共にクリスの叫びが響き渡った。




 その後も弦十郎による特訓は続いた。

 二重飛び、中腰の姿勢で体のあちこちに水の入った器を乗せたり、(何故か)冷凍の肉を殴ったりとその特訓内容は多岐に渡る。

 変に盛り上がったのは生卵をジョッキで飲む時だ。響に翼、透が平然と飲み干す中クリスは味がお気に召さ中たのか途中でダウン。それはまだいいのだが、特に盛り上がったのは颯人と奏の2人。

「奏、どうせだからどっちが早く飲み干せるか勝負するか?」
「よっしゃ! 負けて吠え面かくなよ?」
「さ〜てそりゃどっちかな? つー事で、よーい……ドン!」

 生卵が満たされたジョッキを一気に傾ける颯人と奏。下らぬことで勝負となった2人だが、その様子は微笑ましく気
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