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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(7)〜タバル・ヒルの戦い(中)〜
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冗談のような兵器だが。
「畜生!真面目に戦争しやがって!閣下ァ!こっからどうしますかい!」
 エルビングはそっと聴音センサーを確認する、”派手な戦闘音”はどんどん膨れ上がっている。十分役目は果たした、彼はそう判断した。
「兵隊共の相手はすんじゃねぇぞ!あの厄介な対空砲台を破壊したんだ!さっさと撤退だ!へっ!奪う物もねぇ戦で大事なお前ら潰しちゃよ‥‥皆に顔向けできねぇぜ!」
「さっすが男爵閣下!聞いたなテメェら!目的は達した、退くぞ!」

「おっとそうはいかん、こちらも面子があるので即退散とはいかせぬよ」

「おっとぉ!」
 放たれた短剣が護衛をかいくぐり真っすぐ標的へ向かう、だがエルビング男爵は慌てずそれを斧でそらした。
「畜生!武装牧師隊かよ!!」
 聖輪武装牧師隊――大夏天民国において牧師、すなわち“羊飼い”とは羊、すなわち信者を守る在り方であると伝えられている。大夏天民国は銀河連邦の辺境地域に跋扈する軍閥に対する農民反乱から始まった、その指導者となったチョウ・クァンは”啓典の教え”を奉じていた。彼は聖人ダルマが天使に稽古をつけられ授けられた聖輪武術(ショウリン・アーツ)の達人であり、軍閥の将校を素手で”打ち、とった”と伝えられている。大祖である彼を見習い、牧師は必ず聖輪武術(ショウリン・アーツ)を学ぶことが教義の一環となっている。
 

「タダでは帰さんぞ!貴様らの首を置いて行けい!」
 白一色の星に映える、鮮やかな朱色の房飾りをつけた花槍を装備した精鋭部隊だ。頭数は同数、更には先ほどから連弩に機械弓を装備した支援兵も集まってきている。

「ハッ!ゾロゾロとご丁寧なこった!」
 にやりと笑いながらエルビングは内心、舌打ちをした。
 シンプルな話である、エルビングは既に一刻も早く逃げ出すつもりであった。彼にとってはこの戦も”クソ浪費の舞踏会”と変わらない”営業に必要な出費”である。
 だが――これほどに頭数が揃うとなると撤退にもコスト――戦死者が出る。エルビングは自分の育て上げた”儲けるための財産”をこのような形で失いたくはない。


「テメェらの相手はこの”ヨハン軍曹の分隊”だ!!テメェらのようなクソ野郎には勿体ねぇぜ?」
 彼に続いて十数人の男たちが前にでる。彼の分隊だ。
「テメェらはいつもそうだ!俺達が必死に家族のために稼いでる時に寄ってたかって邪魔をする!」
 
「何千隻もある病院船のたかが一隻を鹵獲して中身ごと売り飛ばしただけの俺達を殺す為に千隻も軍艦を動員するイカレ共!たかが五隻の私掠船をいじめて悦に入る下衆共が!!
ここで俺が片付けてやらぁ!」


「‥‥‥ヨハン!最期の仕事を頼めるな!」
「男爵ぅ!俺達ァ高いですよ!俺たちの家族、全員たんと豪華な飯を食えるくらいの手当、
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