第十一幕その三
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「ウィンキーの苺も好きなのよ」
「あの黄色い苺だね」
「僕の国の苺もだね」
「好きよ、その色がね」
「味は変わらないっていうけれど」
「色は違っていてね」
「あちらの色も好きよ」
こう言うのでした。
「黄色い苺もね」
「ウィンキーの黄色い苺だけれど」
カルロス達五人もお仕事に入りました、そうして苺達を摘みながらそのうえでビリーナに言いました。
「黄色い西瓜の黄色だね」
「あの黄色ね」
「そう、あの色だね」
「そうね、黄色は黄色でもね」
「そちらの黄色だね」
カルロスはさらに言いました。
「そしてウィンキーは勿論西瓜もね」
「黄色いわよ」
「そうだね」
「けれど西瓜は西瓜の味で」
「苺は苺の味だね」
「そうよ」
ビリーナは嘴で苺を摘みながらカルロスに答えました。
「それは違うわよ」
「そうだね、それで苺もね」
カルロスはにこにことしてこんなことも言いました。
「ミルクと合うんだよね」
「ええ、ただ私はね」
「ビリーナは?」
「ミルクも好きだけれど」
それでもというのです。
「飲むのなら苺そのものをジュースにして」
「ああ、苺ジュースだね」
「それが好きね。それでその時は」
苺ジュースを飲む時はといいますと。
「ギリキンのが好きよ」
「紫の苺ジュースがなんだ」
「そうなの」
こうカルロスにお話しました。
「それでギリキンに行ったらね」
「あの国の苺ジュースを飲んでるんだ」
「一度はね」
必ずというのです。
「そうしているわ」
「そうなんだね」
「そう、それにね」
「それに?」
「ジャムならカドリングよ」
苺ジャムはというのです。
「あの国の赤いジャムがね」
「好きなんだね」
「そうよ、ジャムはパンの切り端に付けて」
「そうして食べてるね」
「そうしているわ、これも好きよ」
「成程ね」
「そしてエメラルドの都にいたら」
その時はといいますと。
「緑よ」
「緑の苺だね」
「あの国のジャムを食べるわ」
「そうしてるんだね」
「いつもね」
こう言いつつでした。
ビリーナはせっせと苺を摘んで、でした。皆と一緒に働きました。それが一段落した時にそこにドロシーがトトと一緒に来ました。
そしてです、カルロス達に言ってきました。
「そっちはもう終わったかしら」
「はい、今終わったところです」
カルロスが答えました。
「後はリアカーに乗せてお家に送るだけです」
「わかったわ、じゃあ私達今からバウムクーヘンの収穫に行くけれど」
「そちらにですね」
「一緒に来てくれるかしら」
「わかりました」
カルロスは笑顔で答えました。
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