第三章
[8]前話
「俺の家に来てくれ。仲のいい犬ならな」
「それならですか」
「うちにもいるからな、紹介させてくれ」
「それでは」
スタッフはペレスの言葉に頷いた、そして食事の後で。
ペレスと待ち合わせをして彼の家に連れて行ってもらった、すると。
「ワン」
「ワンワン」
茶色と白のポメラニアンが白いアメリカンエスキモーと遊んでいた、見れば。
アメリカンエスキモーの目はない、スタッフはそれを見て言った。
「この子は」
「雄で十一歳、ホシっていうんだがな」
「目がないですね」
「緑内障で痛むからな」
「取ったんですか」
「手術でな」
こうスタッフに話した。
「そうしたんだ」
「そうですか」
「それで目がないんだ」
「そうですか」
「それでもう一匹はゼン、元は野良犬でな」
それでというのだ。
「たまたま道で見付けて保護してな」
「家族にですね」
「迎えたんだよ、ただな」
「それでもですか」
「色々身体が悪くて大きな手術もしたさ」
「そうですか」
「何とかよくなったけれどな、それで家に来て」
家族になってというのだ。
「目が見えなくなったゼンと仲良くなって」
「いつも一緒にいるんですね」
「仲良くな、ホシの目にもなってくれてるよ」
「そうですか」
「目が悪くて身体が悪くて」
二匹共それぞれハンデを背負っているがというのだ。
「そのうえでな」
「ああしてですね」
「仲がよくてな」
「目にもなってくれて」
「そっちの子達もそうしてな」
傷付いた兄弟を必死に護ってというのだ。
「こっちの子達もだ、犬は本当にいいな」
「そうですよね」
二人で笑顔で話した、そしてだった。
スタッフはこの話を聞いてこれまで以上に犬が好きになって土産にウクライナに戻った、すると他のスタッフ達も尚更犬が好きになりこれからも頑張っていこうと誓い合った。
二匹の犬達の絆 完
2021・7・17
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