暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
センス
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
だし、ボール捌きもうまい。でも、緊張していたのか……

「あっ!!」

投げる時にボールを引っ掻けてしまい半端な送球になる。

「ほっ」

バウンドするかしないかの微妙な高さ。でも、莉愛はそれを平気な顔で捌いていた。

「ナイスキャッチ」
「えへへへへ///」

褒められて満更でもなさそうな表情を見せる。なんか優愛っぽい雰囲気があるなと思いながらも、ボールを受け取り次に移る。

でもここからは経験者とは言え硬球は未経験の子達。緩めのゴロを打つため捕るまでは問題ない。ただ、どうしてもスローイングが不安定になってしまう。

ピュッ

予想していた通り乱れる送球。しかも今度は一番捕りにくいハーフバウンド。これは怖がって逸らしても仕方ないかな?

「うわっ!!」

と思っていたのに、彼女は膝をついてそのボールを難なくキャッチする。経験者でもなかなかできない判断を咄嗟にする彼女に、目を疑ってしまった。

「やぁやぁ!!お待たせお待たせ」

驚きを隠せずにいると、ようやく優愛が戻ってきたようでこちらに戻ってくる。堂々と歩きながら。

「走れ!!」
「わーん!!怒られたぁ!!」

思わず声が出てしまった。だってまるで偉い人みたいにゆっくり来るから、さすがに注意もしたくなるよね?

「よしよし、莉愛ちゃんあとは任せてノック受けてきてねぇ」
「えぇ!!キャッチャー楽しいのに……」
「大丈夫大丈夫、また今度させてあげるから」
「ホントですか!?やったぁ!!」

なんだか妹をあやすようなノリで莉愛をみんなの方に送り出す優愛。ただ、今考えているのはそこではない。

「あの子、もしかしたら使えるかもね」
「あ?やっぱりそう思っちゃう?」

どうやら優愛も同じことを思っていたらしい。初心者とは思えないほどの判断力とボールに適応できる能力。これは間違いなくセンスと言っていいだろう。

「春の大会が終わったら、監督に話してみようか」
「うん。それまでは私たちが頑張らないとね」

夏の大会のシードを決める春の大会。それが終われば再度チームの編成が行われる。その時に何人の一年生が出てこれるか、これは全国大会に行くためのもっとも重要な要素なのだから。




[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ