第百五話 ガルフォード、駆けるのことその六
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「わかったわね」
「はい、それでは」
「その時には」
「都からは何時でも出られるわ」
このことについてはだ。司馬尉は全く何の心配もしていなかった。
「そしていざとなればね」
「あの術をですね」
「使われますね」
「そうよ。私のあの切り札」
笑みにあるその凄惨さがさらに増す。
「あれを使うわ」
「わかりました。では」
「姉様と共に」
「手は幾らでも打っておくことよ」
司馬尉はこんなことも言った。
「あらゆる事態を考えてね」
「お流石ですね」
「そうして動かれるのは」
「私は司馬尉仲達」
己の名前もだ。言ってみせた。
「その名にかけて。あらゆることで誰にも負けはしないわ」
「そしてこの世をですね」
「我等のものに」
妹達も応えてだ。そのうえで今は一連の動きを見るのだった。そしてだ。
ガルフォードは華陀と共に都に辿り着いた。着くとすぐにだった。
曹操の屋敷に入りだ。すぐに彼女の前に出た・
曹操は彼の姿を見てだ。まずは目を鋭くさせた。
そのうえでだ。彼に尋ねた。
「やはり来たのね」
「ああ、来た」
ガルフォードも曹操に答える。肩で息をしながら。
「仕掛けて来た」
「わかったわ。それにしても」
「速かったっていうんだな」
「忍の動きはわかっているわ」
それはだ。ガルフォードだけでなく半蔵や他の面々を見てわかっていた。
だがそれでもだ。今のガルフォードの到着は曹操が考えていたよりも遥かに速かったのだ。それで今彼に問うたのである。
「それでも速過ぎるわ」
「ああ、それはな」
「俺が協力させてもらった」
ここでだ。華陀が出て来た。しかし彼は汗一つかいていない。
その華陀がだ。曹操に話すのである。
「俺の針を使ってな」
「脚を速くしたのね」
「そうだ。それで一気にここまで来た」
そうだというのだ。
「ことは一刻を争うからな」
「そうね。早いに越したことはない話だから」
曹操もだ。このことはよくわかっていた。だからこそ忍であるガルフォードに対して頼んだのだ。
そのうえでだ。彼女は言うのだった。
「有り難う、今回も」
「礼はいい。それよりもだ」
「わかっているわ」
すぐに答えた曹操だった。
「出陣の用意はもうできているわ」
「わかった。それならな」
「先鋒に伝えておくわ」
ただ出陣するだけでなくだ。先鋒も決めているというのだ。
「張遼に馬超達にね」
「そうか。それじゃあな」
「ええ。すぐに私達も出るわ」
曹操の言葉が次から次に出される。
「劉備、そして麗羽達にも伝えるわ」
「わかった。それならな」
「都の留守はもう置いてあるし」
それの備えもしてあるというのだ。
「安心して出陣できるわ」
「そうか。それは何
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