第107話『次に向けて』
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ドだったかな? 大丈夫?」
「これくらいは、何とか……」
嘘だ。昨日の今日で体力は回復し切ってないので、正直しんどかった。
それでも、風属性の魔術に関する学びは多く、一気にレベルアップしたのを実感する。
「私の見込んだ通り、やっぱり君は覚えが早い。今日だけでここまでできるなんて、予想以上だよ」
「ホントですか!」
風香にそこまで言われると、さすがに嬉しいし自信もつく。思えば、魔術の会得も早かったし、もしかすると本当に覚えが良いのかもしれない。ここに来て意外な才能が見つかった。
「さて、もう試合も終わってみんなが帰ってくる頃だから、私は行くね。出番次第だけど、良ければ明日も特訓しようか」
「はい! ぜひお願いします!」
そう言って手を振りながら、風香は去っていった。しかも明日も特訓の約束も取り付けることができたので、とても幸先が良い。
これで、結月や終夜といった上のレベルの魔術師に、1歩は近づいたはず。明日も頑張って、いずれは追いつけるようになりたい。
晴登は強く、そう意気込んだのだった。
*
「あれ、ハルト! どこ行ってたの?!」
「あ、結月と暁君」
風香も帰ったので、ホテルに戻ろうとしていたちょうどその時、会場から帰ってきた結月と伸太郎に遭遇する。
晴登を見つけるなり、結月が表情を変えて駆け寄って来た。
「えっと……裏庭で特訓してた」
「特訓って、1人でか?」
「ううん、師匠と2人で」
彼らの問いに正直に答えると、2人とも怪訝な表情をする。
しかし直後、伸太郎は思い出したように言った。
「そういや、魔導祭で師匠を探すとか言ってたな。見つかって良かったじゃねぇか。で、誰なんだ?」
「【花鳥風月】の猿飛さん」
「あ〜確かに風使いだったな」
「……は! 予選でハルトをお姫様抱っこしてた人!」
「いや覚え方」
風香の名を出すと、2人はそれぞれ違う反応を示す。ただ結月に至ってはあまり思い出したくない覚え方をしているので、早々に忘れて欲しい。
「予選の時といい、仲良いみたいだね。ホントに特訓してたの? まさか浮気とか──」
「ないない! 違うって! ホントに特訓してただけだから!」
やけにぐいぐい結月が首を突っ込んでくるので、慌てて否定する。
もしやこれが、俗に言う「嫉妬」というやつだろうか。実際「浮気」と口にした辺り、結月はかなり嫉妬深いかもしれない。そこまで想われてることは嬉しいのだが、逆にそのうち度が過ぎるのではと不安にもなってしまう。……マンガの読みすぎだろうか。
「ふ〜ん。ボク、ハルトがいなくて寂しかったなぁ〜」
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