第107話『次に向けて』
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て腹も立つ。
だがそんな威勢にも興味を示さない影丸。やる気なんて微塵も感じられず、呼ばれたから仕方なく出てきましたと言わんばかりだ。
すると、ようやく試合をする気になったのか、初めて三葉の目を見据えると、ぽつりと一言、
「── 一瞬だ」
「な、消えた……!?」
呟いた瞬間、彼の身体が消失する。突然の事態に、三葉も声を上げて驚いた。
ちなみに、伸太郎も全く同じ反応をしている。上から見ても、何が起こったのかわからなかったのだ。瞬きをした次の瞬間には、影丸は姿を消していたのだから。
「決まったな」
「え? それはどういう──」
『あ〜っと! 三葉選手ダウンしました!』
「っ!?」
終夜の発言の意図を訊き返そうと彼に振り向いた途端、そのアナウンスで度肝を抜かれた。再びフィールドに向き直ると、中央で三葉がうつ伏せに倒れ、その背後に影丸が立っていた。
「なっ!? い、今何したんすか?!」
「あれが"黒龍"の技の1つ、"影喰"。影となって姿を消し、そして相手の影に干渉してダメージを与えたんだ」
「影に干渉……!? そんなことできるんすか?!」
「"黒龍"ってのは、"黒を支配する"ことができるからな」
「黒って、無茶苦茶っすね……」
「それがレベル5の魔術師なんだよ。全てが規格外なんだ」
「……っ」
あまりの強さに、伸太郎は息を呑む。
相手だって、予選を勝ち抜いてきた猛者のはずだ。それがこうも容易く倒されるのを見ると、驚かざるを得ない。
"黒龍"と呼ばれるからには、てっきり龍のブレスとか期待していたのだが、黒を操るというのは、これはこれで化け物じみた力である。
……いや、これに加えて龍の力があると考えるべきか。もはや化け物どころではない。
「こいつにも、そのポテンシャルがあるってことか……」
そして伸太郎の視線は、隣で退屈そうにしている結月へと向く。
一見か弱そうな彼女だが、その内には鬼の力を秘めているのだ。まだその力を目の当たりにしたことはないが、恐らく同じレベル5である彼女にも、影丸のように規格外の力があるのかもしれない。
「そういや、予選1位通過だったな……」
伸太郎と同じく、予選1位を取った結月。しかし伸太郎のように知能で勝ち上がった訳ではなく、単純なパワーで勝ち上がったに違いない。どうやらポテンシャルどころか、既にその才は発揮されていたようだ。
「怖ぇなぁ……」
そんな伸太郎の嘆きは、会場の熱狂にすぐにかき消されるのだった。
*
「うん、それじゃ今日の特訓はこの辺にしようか」
「は、はい……」
「ちょっとハー
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