第六十五話 心配していてその八
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「ですから」
「だからそういう態度は止めなさいって言ってるでしょ」
「だってこの人神殿で人罵ってわざわざ待ち伏せして人の陰口言ったんですよね」
先輩を睨みつつ私に言ってきました。
「そうですよね」
「先輩はそう言われてるけれど」
私も先輩を見て阿波野君に答えました。
「もう五年は前のことでしょ」
「五年前でもやられた方には生々しい今かも知れないですよ」
「された方は覚えてるっていうのね」
「僕だったら何があっても忘れないですから」
それこそというのです。
「ですから」
「そう言うの?」
「はい、そんな残酷なことする人嫌いですよ」
本当に先輩本人を睨みつつ言います。
「許されないことしましたから」
「先輩に面と向かって言うのは駄目よ」
「僕確かに陰口言いますよ、嫌いな人には」
「阿波野君も言うじゃない」
「嫌いな人には何だってする人間ですから」
「自分で言って恥ずかしいと思いなさい」
「悪い癖性分ですね」
「そう、本当にね」
こう言い返しました。
「嫌いな人がいてもね」
「態度は悪くならないことですか」
「そうよ、阿波野君は嫌い過ぎよ」
嫌いな人をです。
「先輩に対してもね」
「だって本当に嫌いですから」
「その全肯定か全否定の癖は止めなさい」
とにかくその悪い癖性分が気になってです、とにかくこの子のこのことを何とかしないといけないと強く思いました。
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