第百四話 あかり、闇を感じるのことその八
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「あの地での戦いに」
「ああ。で、あそこに刹那がおったら」
その場合はどうかとだ。あかりは顔をさらに曇らせて言った。
「雪に気をつけんとな」
「雪さんに?」
「あの娘の仕事はあいつを封じることや」
それはだ。絶対だというのだ。
「そやからや。それに対してや」
「命を賭けるかも知れないのね」
「そこあんたと同じやな」
あかりはナコルルの言葉に返してだ。こう言ったのだった。
「あんたもそやろ」
「私は」
「わかるわ。自分を犠牲にしてでも何かをしようとする」
こうだ。ナコルルを見つつ言うのである。
「そういう娘やからな」
「若しかしてあちらの世界でも?」
「そうしようとしたわ」
実際にだ。そういうことがあったというのだ。
「黄龍のおいちゃんがおらな実際どうなってたか」
「じゃあ刹那がいたら」
「止めなあかん」
あかりは強い声で答えた。
「その場合はや」
「ナコルルもね」
ミナはここでナコルルを見てだ。彼女に話した、
「気をつけて欲しいわ」
「私も」
「そう。ナコルルもそうするから」
彼女のそうした性格もわかってのことだった。
「自分を犠牲にするから」
「私はそれが」
「務めとは言わないこと」
それはだ。絶対にだというのだ。
「生きること。それは絶対に」
「わかってはいるけれど」
「そう。それは皆で止めるから」
ナコルルについてもだ。そうだというのだ。
「だから気をつけてね」
「ええ、そのことは」
「悪い奴を倒すのはええんや」
あかりは両手を腰にやって胸を張ってだ。
そのうえでだ。こう言ったのだった。
「けれどそれで自分を犠牲にするのはあかんのや」
「悪を封じて自分も生き残る」
「それでなければ」
「あかんのや」
こうした話をだ。ナコルルに話すのだった。
そこまで話すとだ。急にだ。
あかりの前の前にだ。十三が出て来た。
それでだ。こう彼女に言うのだった。
「お嬢、ここにいたのか」
「何や、急に出て来たな」
「俺が急に出て来て悪いか?」
「でかいのが急に出て来たらや」
十三のその巨体を見上げながら。小柄なあかりは言った。
「誰かてびっくりするわ」
「俺がでかいのが悪いのか」
「めっちゃ悪いわ」
実際にそうだとだ。十三に返す。
「ほんま。何でそんなにでかいんや」
「生きてたら急に大きくなったからな」
十三にとってはそれだけのことだった。
「何ていうかな」
「そうなんか」
「そうだ。それでだ」
「それで?」
「ちょっと来てくれないか?」
あらためてあかりに話す。
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