出雲紺子の過去
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しばらくしてようやく落ち着いたのか、惣一はこれまでの経緯を説明した。
貴彦と海里もやっと状況を飲み込めた。
海里「つまりお父さんは誘拐したわけでも泣かせたわけでもないのね?」
惣一「はい」
貴彦「ふーん。ところでこの子の名前は?」
惣一「ないんだって。だからさ、お前に質問するけど………うちの子にならないか?」
妖狐「え?いいの?襲ったのに…」
惣一「気にするな。何があったのかは聞かないでおくから。で、どうする?」
妖狐「……お、お願いします………////」
妖狐は顔を少し赤らめ、もじもじしながら答えた。
惣一「よし決まった!今日からお前は俺たちの家族だ!で、名前だが………『紺子』。狐の『コンコン』って鳴き声から取って『紺子』。今日からお前は『出雲紺子』だ!」
妖狐「出雲……紺子…………?」
これが自分の名前?そう言おうとした矢先、先ほどまで垂れていた耳がピョコンと立った。
貴彦「狐の耳!?癖毛かと思ってた!」
海里「しかも尻尾も!」
紺子「あ……」
惣一「まあまあ、いいじゃねぇか。紺子は誰だろうと俺たちの家族なんだからさ。んじゃ改めて、俺は出雲惣一。こっちは俺の娘の出雲海里」
海里「よろしく、紺子ちゃん」
惣一「んで、こっちが貴彦。養子だけどな」
貴彦「よろしくな、紺子」
紺子「よろしく……海里……貴彦……!」
紺子の顔からは少しずつ喜びの表情が浮かび始めていた。
惣一「よろしく。そしてようこそ我が家へ!」
紺子「というわけで、今に至るってわけ。惣一の父ちゃんが拾ってくれなかったら私はここにいなかったってわけ」
彼女の話が終わった頃にはちょうどチャイムが昼休み終了の合図を知らせた。
紺子「心配かけさせて悪かったな。話してるうちに気が楽になったよ」
龍華「紺子」
紺子「?」
龍華「次カフェに来たら、マスターに頼んでとびっきりいいサービスしてやる」
竜奈「また何か辛いことがあったら相談してくれ」
紺子「……………ああ。ありがとな龍華、竜奈先輩」
こうして3人は次の授業のため、教室に戻っていった。
紺子にとって惣一が彼女を拾ってくれたことは一生忘れられない思い出だ。それを胸にまっすぐ進もうと強く心に誓った。
一方、屋上から落とされた辰蛇は。
辰蛇「何で私こうなるのぉ………」シクシク
固い地面に叩きつけられて血溜まりを作りながら泣いていた。
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