出雲紺子の過去
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た!今まで我慢してましたが、もうこれが限界なんです!」
辰廻「限界…?よろしい、ならば楽にしてくれる!我が力を見せてくれる!間もなくお前の肉と血は我が身体の一部となり、我が妖力はさらに底上げされる!お前がしでかした不孝を地獄で詫びるがよい!!」
妖狐は短刀の刃先を向ける間もなく辰廻に口を押さえられる。不気味に光る骸喰の刃先が妖狐の喉仏に当てられた。
妖狐「っ………!!」
もはやここまでか。そう思っていた妖狐だが、短刀を手にして正解だった。気づかれないよう着物から抜き取り、辰廻の首筋に突き刺そうとしたその瞬間。
辰廻「!?」
突然辰廻が骸喰を落としたかと思うと、そのまま頭を押さえながらしゃがみ込んだ。
辰廻「おのれ……こんな時に急に頭痛が起こるとは………!」
辰廻は冷や汗を流しながら歯を食い縛り、頭を押さえながら落とした骸喰に手を伸ばそうとした。
辰廻「力の底上げのツケか…!?なんとなくわかっていたが、私が長年続けてきたことは……全て……命…に………だが……まだ………死ぬわけ……には……」
言葉が終わらないまま背後から短刀が刺され、刃は心臓に到達していた。黒い着物が血に染まったのは妖狐にははっきり見え、刺された辰廻も口から血を吹き出した。
妖狐「ご主人様………死んでください」
辰廻「………!?」
骸喰がいつの間にか妖狐の手に渡っていた。
バカな。考える間もなく辰廻の首は畳の上を転がった。胴体も崩れ落ちるように倒れて動かなくなり、それぞれ血溜まりを作っていく。
妖狐「……………………」
血溜まりができていく様子を見る妖狐は飽き足らず、骸喰を力強く握りしめると、辰廻の頭を一刀両断にした。
妖狐は骸喰をその場に投げ捨てると、屋敷の庭の隅にある物置小屋へ入る。
しばらくしてから屋敷に入り、持ってきた油らしき液体を屋敷中にまいた。もちろん庭にもまかれた。そして辰廻の遺体にも………。
やがて燃え上がる屋敷が夜の闇を照らす。妖狐はそれをしばらく見つめると、燃える屋敷を背後に涙を流しながら去っていった。
その話を聞いていた龍華と竜奈は気の毒そうな表情をしていた。
龍華「お前……相当苦労をしてたってのか……」
紺子「……ああ。辛かったよ。特にあの陰陽師の実験台にされたことは……………」
竜奈「だが、その『出雲紺子』という名は誰がつけたんだ?」
紺子「………そうだな」
妖狐が陰陽師を殺し、屋敷を放火させてから長い年月が過ぎた。
時は明治時代中期。不老不死の呪薬を舐めて以降、妖狐は本当に老いることも死ぬこともなかった。むし
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