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異生神妖魔学園
出雲紺子の過去
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同じく雷鳴を聞いた陰陽師はすぐに済ませようと思ったのか、妖怪の四肢に狙いを定めていた。
一方で母子の方は、子狐は無事だった。


子狐(すごい近くに雷落ちたよ…なんだか怖くなってきちゃった…)


しかし、母狐の返事がない。いくら見回しても母狐の姿が見当たらず、代わりに黒焦げの動物を模した物体が横たわっていた。


子狐(お母ちゃん?どこ行っちゃったの?ねえ、お母ちゃん?)


やがて黒い物体を見つけたが、それが自分の母であると気づくのにそんなに時間はかからなかった。
どんなに揺すっても目を覚ますことはなく、息もしていない。絶命していたのだ。


子狐(お母ちゃん…死んだなんて嘘だよね?ねえ、起きてよ……起きてよ、お母ちゃん。1人ぼっちは嫌だよ。私だけ残して死なないで………置いてかないで……お母ちゃん………お母ちゃん!)


母狐が死んだ現実を受け入れられず、子狐は黒焦げの死体に寄り添い、泣いた。焦げ臭い匂いが鼻の穴を刺激すると、さらに涙が溢れてくる。
だが現実は現実。どんなに泣いても寄り添っても、母狐は二度と目を覚ますことはなかった。





陰陽師「先ほど近くに雷が落ちたが、死んだのは母の方か……」


妖怪退治を終え、返り血を浴びた陰陽師が母狐の死体に寄り添う子狐を見下ろしていた。


陰陽師「まだ親離れする時期ではないが、このまま放っておけばいずれ栄養不足で死ぬだろう………仕方ない。拾って育てるとするか。式神を生み出すにはちょうどいい」

子狐(い、いやっ!やめて!放してよ!お母ちゃんと離ればなれに……1人ぼっちにさせないで!お母ちゃん、起きてよ!助けて…!お母ちゃん……!お母ちゃーん!!)


哀れな子狐は一心で暴れた。どんなに暴れても母狐の姿はどんどん遠ざかり、なす術もないまま陰陽師に連れ去られた。





その子狐を拾った陰陽師の名は辰廻(たつみ)・アウィス・カエルレア。日本の母と異国の父の間に生まれた息子である。
辰廻の父は船が転覆し、漂流した場所が日本。母は何の警戒もなく助けた。お互いの言葉を教え合っているうちに数ヶ月経ち、一目惚れした父と優しい彼が気に入った母はやがて結婚、辰廻を産んだ。
彼が将来陰陽師になりたいと思ったのは少年時代、たまたま妖怪と戦っている陰陽師を見かけたから。僕も人のためになりたいと思った辰廻は出家、修行。数十年の時を経て身体能力、妖力、神力を底上げしていった。
本人は人間や妖怪の肉や血を口にすることで力を底上げできると考え、行き倒れの人間、現れた妖怪を見つけては腹の足しにする。同時に自身の力にもなる。それを繰り返したことで今となっては人間を超えた存在となっていた。


辰廻「今日からここがお前の家だ。
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