困った恋愛脳
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がぐるぐると揺れながら、ハルトは彼女の手を振り払う。
「親戚のおばさんですかアンタは。ないですって。そもそも俺は……」
そこまで言いかけたところで、ハルトは口を閉じる。
「ハル君?」
「いや、何でもないです」
公園がある通りを抜け、見滝原中央駅にたどり着く。ここから西に向かっていけば、ラビットハウスがある木組みの街に着く。
その時。
「……!」
「きゃっ!」
ハルトはブレーキをかける。
路肩に停車したそれは、予備動作もなかったため、モカが小さな悲鳴を上げていた。
「も、もう……ハル君。急ブレーキは危ないよ」
ハルトの耳には、モカの苦言は入っていなかった。
ヘルメットを外したハルトは、道を歩く女子中学生へ声をかけていた。
「ほむらちゃん!」
その声に、少女は足を止める。長い黒髪を靡かせながら、ゆっくりとハルトを振り返る。
暁美ほむら。ハルトとは少なくない因縁を持つ、聖杯戦争の参加者の一人。
これまでほとんどポーカーフェイスをハルトに見せてきた彼女だったが、ハルトの姿を見るなり、目を大きく見開いた。
「松菜ハルト!」
魔法少女としての姿もあるのに、生身のほむらがハルトの肩を掴む瞬間を、視認することができなかった。
「フェイカーを見なかった!?」
「え!?」
彼女の口から、先ほどハルトが戦ったばかりのサーヴァントの名前を口にした。
だが、それはもう何時間も前の話。
ハルトは頷く。
すると、ほむらは更に詰め寄った。
「どこで!? いつ!?」
「十一時くらいに……見滝原公園で」
「十一時……」
その時刻を知った瞬間、ほむらの顔が歪む。
「あれ? もしかして、本命はこの子?」
「違います!」
おちょくってくるモカを制しながら、ハルトは改めてモカの質問に答える。
「十一時だよ」
「私よりも早い……!」
ほむらは唇を噛んだ。
その只ならぬ雰囲気に、ハルトは尋ねた。
「何かあったの?」
「貴方には関係ないわ」
ほむらは唇を噛みながら、走り去ろうとする。
ハルトは彼女を追いかけようとするが、あの体のどこにそんな力があるのかと聞きたくなる勢いで、彼女の姿は見えなくなっていった。
「何なんだ一体……?」
ハルトはそう言いながら、モカに振り替える。
「ごめんなさい、モカさん。少し急用ができたみたい。えっと、帰り方分かります?」
「分かるけど……どうしたのハル君。なんか、怖い顔してるよ?」
モカの言葉に、ハルトは努めて表情を作る。咳払いをした後、改めてほむらの姿を見る。
「あの子、ちょっとした知り合いで……さっきの話は、ちょっと俺に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ