ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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、自分が負けそうだからってなりふり構わなくなってきてるだけじゃねえか。なあ爺さんよ、アンタが他に切れる手札は何がある?『BV』の生みの親、裏デュエル界の実質支配……まったく、大した爆弾2つも抱え込みやがってよ。だが、もう手品のタネは切れたろう?」
「……」
沈黙は、肯定の何よりの証拠だった。こちらの動揺をもう1度誘えるような事実の持ち合わせは、いかに化け物じみた老人といえどもこれ以上は存在しない。探偵の真似事も、もう終わりだ。大きく鋭く息を吸い、裂帛の気合と共に宣戦布告の声を張り上げる。
「さあ爺さん、ここからは正真正銘の2対1だ。アンタには長年のよしみもあるが、それ以上にアタシには全プロデュエリストとデュエルモンスターズ界を代表して、この13年間の恨みを晴らす義務がある!遠慮せずに数と……」
ここでわずかに言葉を止め、横で糸巻の大見得に呑み込まれていた鳥居と目を合わせる。全くなんて顔してやがる、そう心の中で苦笑した。こういうのは本来、お前の役目だろうが。アタシみたいな時代遅れのロートルに、看破と論破なんて知性派な真似させるんじゃねえよ。
「数と、質。この2つをもって、完膚なきまでにぶちのめしてやるぜ!」
言われた鳥居が、ぎょっとして目を見開く。数と、質。その言葉の意味するところが分からないほど、彼は馬鹿ではない。
糸巻太夫と、鳥居浄瑠。2対1という数で七宝寺を上回り、そのデュエリストとしての質ですらも伝説と謳われた老人を凌ぐコンビ。そこまで言わせてなお立ち直れないようでは、彼もそこまでの人間だろう。それだけの覚悟をもって、糸巻はそう言い切った。
「なかなか大きく出たねえ、糸巻の。じゃあまずは、そんな糸巻のがどう出るか、じっくり見せてもらおうじゃないか」
「ああ、そうしてやるよ。アタシのターン!」
ある意味では、今回のバトルロイヤルという形式のおかげで助かったともいえる。糸巻はカードを引きながら、そんなことを心の片隅でふと考えていた。おかげで自分が戦うこの1ターンの間、鳥居には誰にも邪魔されずに今かけた発破を呑み込んで自分の中で折り合いをつける時間が与えられる。
とはいえ、あまり状況はよろしくない。糸巻の手札は、これで3枚……しかしそのうち1枚はデュエル開始時から存在する魔法カード、命削りの宝札だ。展開を優先したために先のターンには使えなかったこれが、今も手札で無意味にくすぶり続けている。
「このスタンバイフェイズ、王宮の勅命の維持コストとして700ライフを支払うよ」
七宝寺 LP2600→1900
王宮の勅命の維持コストには、払わずに自壊させるという選択肢はない。スタンバイフェイズごとにライフが1でも残る限り払い続けなければならず、その際に700未満であれば問答無用で敗北と
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