ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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耐えられない。
魔界劇団−ビッグ・スター 攻2500→工作列車シグナル・レッド 守1300(破壊)
だが、それだけだ。もう、彼にこれ以上の手は打てない。せめてもの抵抗としてカードを1枚伏せターンエンドを宣言するとともに、ビッグ・スターが呼び寄せた魔王の降臨が煙となって音もなく消えていく。ビッグ・スターが取り出した魔界台本は、もしフィールドに残っているならばターンの終わりに墓地へと送られるからだ。
そして続いてのターンプレイヤーは、糸巻。しかし彼女がカードを引くより前に、なぜか深い微笑みと共に老人が喋りかけた。
「惜しかったねえ、若いの。今のターンは、君にとって最初で……そして、最後のチャンスだった。私に勝利する、ね」
「……?」
名指しで呼び付けられた鳥居のみならず、糸巻もカードを引こうとしていた手を止めて耳を澄ます。聞いてはいけない、向こうのペースにはまるだけだ。そう思いつつも、老人の口調にはどこか抗いがたい雰囲気があった。
「魔界劇団−デビル・ヒール、実にいいカードだよ。先日の裏デュエルコロシアムでも大活躍だった、あれは私の記憶にも新しいよ」
ダーク・リベリオン、ビッグ・スターと共に鳥居のフィールドを守るデビル・ヒールを指さし、賞賛の言葉を口ずさむ。先の読めない話に、困惑ばかりが深まっていく。
「戦闘破壊時の魔界台本回収効果?コストとした魔界劇団の分だけ相手モンスターの攻撃力を下げるペンデュラム効果?違うだろう、そのカードの一番の強みがそこじゃないことは若いの、君もよくわかっているはずだ。そのカードが持つ最初のモンスター効果、場に出た際に自身を含む魔界劇団1体につき1000ポイント、相手モンスター1体の攻撃力をターンの終わりまでダウンさせる効果。ヒールプレッシャー、そう君は称していたね。実際に強力ではあるが、あくまで召喚、ないし特殊召喚した際にしか発動はできない」
そこまできて、まず糸巻がピンときた。その様子を楽しそうな眼で眺め、また口を開く。
「若いの、裏デュエルコロシアムで優勝を遂げた君の名誉のためにひとつフォローを入れてあげようかね、ひひっ。君は今、頭に血が上っている。うまく思考がまとまらないだろう?もっとも、私がそう仕向けたわけだがね。よりはっきり言ってあげるとだね……今の君のターン、君はまずリンク召喚を行えばよかった。デビル・ヒールを含む組み合わせなら、リンク2でも3でも構わない。私が発動している王宮の勅命はフィールド上のあらゆる魔法効果を無効にするが、なにもペンデュラムスケールまでなかったことにするわけじゃない。スケール0のメロー・マドンナとスケール9のティンクル・リトルスター、今君が用意しているその組み合わせならばレベル8のデビル・ヒールでさえもペンデュラム召喚は可能だっ
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