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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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いるのは、彼本人の意思ではない。俺が一番若いから一番高値で売れる、売れる臓器もこの通り揃ってる。俺も力にならせてくれ、そう泣き叫ぶ彼を殴り倒して止めたのは他でもないかつての彼の兄弟子、一本松一段だった。

『ユーは大きな勘違いをしている、2度とそんなこと口にするんじゃない。ミーたちの資本は、まずカードだ。そして、スペクタクルなショーを作るため舞台を駆けまわるこの体だ。その2つを守るために、ミーたちは死に物狂いでやっている。それをなんだ、売る臓器がある?もしミーの……いや、先輩方誰か1人でも耳が届くところでそんなふざけたことを次に抜かしてみろ、ユーは劇団「デュエンギルド」からは永久除名、2度とミーたちと関わり合うな。いいな?』

「それを、今なんつった?裏デュエルコロシアムを開き、デュエルモンスターズへの風当たりを強め続け、あげく言うことが『バランスを取ってやった』だと!?」

 殺気の籠った目で睨みつけ、デュエルディスクに手をかける。エンタメデュエルをかなぐり捨てた彼を今動かしているのは、積もり積もった憎しみと……その矛先をようやく見つけたという、後ろ向きで暗い歓喜だった。

「魔法カードが使えないからって、それで勝ったとでも思ったか?レベル4の闇属性ペンデュラムモンスター、ワイルド・ホープとカーテン・ライザーをオーバーレイ!」

 ガンマンとパラソル人間が共に濃紫の光となり、螺旋状に交差しながら天井まで上っていく。そして向きを変え落下した光の向かう先は、鳥居の足元にぽっかりと空いた、まるで彼の心を駆り立てるどす黒い意思を映し出したかのような深淵の穴。無音の爆発が彼の髪を逆立て、しかし爛々と不気味に輝く目だけがそのままだった。

「エクシーズ召喚、ランク4!覇者の裁きをもたらす龍、覇王眷竜ダーク・リベリオン!」

 ☆4+☆4=★4
 覇王眷竜ダーク・リベリオン 攻2500

 そして生まれたのはプラズマを身にまとう、漆黒の体にエネルギーのラインが走る龍。その一撃必殺の破壊力がまさに他者との対話の一切を拒否する、彼の勝利への渇望を現したかのようなどす黒い輝きとなって黒翼を広げた。怒りに満ちる咆哮が空気を震わせ、びりびりとその場全員の肌を刺す。

「ほう」

 圧倒的な暴力を前に、しかし老人は小さく感嘆の声を漏らしたのみだった。そしてまた、増殖するGによってその手札が増える。その余裕そうな態度から、糸巻がほかの誰にも聞かれないほど小さく舌打ちする。この攻撃は確かに通りさえすれば老人のライフを一撃で0にできる、しかし通らないだろうと確信したからだ。
 怒りによるパワーは、確かに凄まじい爆発力を秘めている。反面、それはその鋭さに比例して極めて脆いものだ。彼女はそれを、痛いほど思い知っている。そして何を言ったところで、鳥居
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