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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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うして無駄と切り捨てられようか。
 鳥居は馬上のビッグ・スターに視線をやり、ビッグ・スターもまた自らの主の意思を確認するかのように視線を飛ばす。2つの目が、そこに宿った意思が、確かに噛み合ったように彼には感じられた。

「ネオスに向けて最後の攻撃……クライマックスワンマンショー!」

 人馬一体となったビッグ・スターが、4つの蹄から炎の軌跡を引きながら宇宙を駆ける。ネオスもまた宇宙空間を蹴り、弾丸のように真っ向からそれを迎え撃つ。最後の邂逅は、ほんの1瞬のことだった。

 魔界劇団−ビッグ・スター 攻3500→E・HERO ネオス 攻2500
 七宝寺 LP300→0





 今度こそ力尽きた宇宙の英雄が、墓標代わりのスペースデブリの中に崩れ落ちる。悲鳴すら上げず、老人の姿が吹き飛ばされる。2つの体が倒れこむと同時に、周りの宇宙空間が何の変哲もないプラント内部の風景へと戻っていった。

「終わっ……たぁ……」

 疲労と安堵が入り混じった感情から今すぐにでもその場にへたり込みたい衝動にかられた鳥居だったが、そうはさせまいと言わんばかりのタイミングで彼のデュエルディスクに通信が入る。どうにか通信機能をオンにすると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

『ハローハロー、こちら清明。そっち何かやった?さっきから糸巻さんにも連絡とってもらってるんだけど、全然出ないのよねあの人』
『彼女の程度の低さ……失礼、幼稚さ……失礼、くだらないことに心血を注ぐ極めて稀な才能から考えて、連絡を取っているのが私だから無視しているのかと思いましたが、どうもそうでもなさそうですので貴方の方に連絡をつけさせてもらいました。ちゃんと連絡が取れるあたり、上司の悪癖は引き継いでいないようで何よりです』
『さっきまでこっちもドンパチやってたんだけど、たった今急に終わっちゃったのよね。まあ、そのおかげで助かったんだけど』
『どうもご老体、こちらからは一切の操作を受け付けなくさせた代わりに自身の敗北とプラントのシステムを紐づけさせていたようで。こちらは何もしていないのに、プラントの『BV』全体に緊急停止がかかりましたよ。それで本題ですが、残念ながら少しばかり勝負を決めるのが遅かったようですね。ご老体が言っていたよりは小規模なもので終わりそうですが、この施設は爆発します。脱出、できそうですか?』

 これで世界は救われた、のだろうか。もしかしたら七宝寺が勝っていた方が世界への、デュエルモンスターズへの、そしてそれを生業とする人々の救いにはなっていたのかもしれない。そんな感傷に浸る暇さえくれない最後の難題に、ふらつく頭で周りを見回す。七宝寺も糸巻も完全に気を失っているのか、いまだ倒れたままピクリとも動かない。抱え上げて運ぼうにも、そもそも彼本人がすでに
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