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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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ド、トイ・パレード発動!」
「トイ・パレード……!」

 老人の顔が、察してしまった絶望に歪む。そのカードの効果を知らないままでいるには、彼のキャリアは長すぎた。それへの抵抗手段がないということすらも、理解できてしまうほどに。

「『私のエクストラデッキから特殊召喚された闇属性モンスター、つまりこのビッグ・スターを選択し、このターン私はこのビッグ・スターでしか攻撃宣言できない代わりに、相手モンスターを遷都破壊し墓地に送るたびに何度でも攻撃を繰り返すことが可能となります。さあ今こそ、勝利へのパレードを走るクライマックスシーンの始まりです!』」

 ビッグ・スターが指笛を吹くと、宇宙の彼方から1頭の馬が走り寄ってくる。むき出しの白い歯に赤く光る瞳、そして4つの蹄を包む紫の炎。普段魔界大道具「ニゲ馬車」として使われているうちの1頭が、その花形の勝利への道を飾るために放たれたのだ。そこにひらりと飛び乗ったビッグ・スターが素早く手綱を絞り向きを変えさせ、英雄たちへと進路をとった。
 その正誤善悪はともかく、たったひとりで長いこと戦い続けてきた伝説のデュエリストなのだ。その花道は、せめて華やかなものであっても罰は当たらないだろう。

「『ビッグ・スターによる、これが最後の凱旋行進です!バトルフェイズ、まずはブレイヴ・ネオスに攻撃!』」

 魔界劇団−ビッグ・スター 攻3500→E・HERO ブレイヴ・ネオス 攻3200(破壊)
 七宝寺 LP1600→1300

「『トイ・パレードの効果により、続きましてはグロー・ネオスに攻撃!』」

 魔界劇団−ビッグ・スター 攻3500→E・HERO グロー・ネオス 攻2500(破壊)
 七宝寺 LP1300→300

「ぐうううっ……!この瞬間に装備魔法、インスタント・ネオスペースのもう1つの効果を発動!装備モンスターがフィールドを離れたことにより、デッキからネオス1体を特殊召喚する!」

 E・HERO ネオス 攻2500

 がら空きになったフィールドで、それでも最後まで立ち上がる傷だらけの英雄。それに何の意味もないことなど、本人が一番よく分かっているというのに。
 ネオスの攻撃力では、さらなる攻撃の権利を得た今のビッグ・スターから耐えきることは不可能。ならばと守備表示で出したところで、魔王はそれを蹂躙したうえでまたもう1度攻撃する権利を得るだけのこと。仮にオネストやオネスティ・ネオスのようなコンバットトリックを行うカードがあるというのならば、なぜそれをブレイヴ・ネオスやグロー・ネオスの時に使わなかったという話になる。
 結局のところ、これは悲しき意地の行為でしかない。今まさに全てを失い敗北しようとしている老人が、最後に自らの魂とまで呼んだカードと共にあろうとする生き様を、ど
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