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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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ていることはこのターンでの死を意味する。並のデュエリストであれば、耐えきることは不可能だったであろう。しかし伝説と呼ばれた男は、それを通しはしない。

「ならばだよ?ひひっ、こうしてみようか。永続トラップ、王宮の勅命!」
「『ぐわっ!?』」
「げっ!?」
「名推理を通して油断したかい?生憎だが、私もあの時はドローがしたかったんでね」

 伏せカードが表を向いた瞬間、鳥居のみならず糸巻までもが苦渋の声を漏らす。王宮の勅命……互いのスタンバイフェイズごとに700、この3人バトルロイヤルでは1周2100ポイントと決して安くはないライフコストこそかかるものの、フィールドに存在するあらゆる魔法カードを一切のチェーンブロックすら組まず強制的に無効化する効果はそのリスクを補ってなお余りあり、チェーン不可の魔王の降臨でさえも紙と化す。
 だが、両者が唸ったのはあのカード1枚によって自分の受ける影響の強さからだけではない。

「爺さん、本気か?」

 1ターン目から七宝寺は融合、そして星遺物を巡る戦いと魔法カードを連発してこの盤面を作り上げてきた。彼の得意とするE・HEROは融合テーマ、魔法カードとは切っても切れない縁がある。
 確かに魔界台本どころかペンデュラム効果まで取り上げられた鳥居に対しては、これはきわめて有効な選択だろう。だが、これはバトルロイヤルなのだ。糸巻のデッキもその中核にはアンデットワールドや命削りの宝札といった強力な魔法カードの存在があるが、それでもメインデッキのパーツ全てが罠モンスターであるバージェストマに対しては碌な拘束力がない。それをすべて切り捨てるかのようなこの王宮の勅命という選択に、糸巻が信じられないとばかりに問いかける。

「そんなに驚くことはないだろう、糸巻の。これでも、この爺いは用心深いのさ」
「『……なんですって?』」

 顔中に深く刻まれた皺を一層深くしてにやりと笑う老人に、今度は鳥居が問いかける。含みのある言い方に、本能的な警戒心が働いた。

「考えてもごらん、若いの。この私は、13年前の正式発表以前から『BV』に誰よりも近い所にいた男だよ。なぜ、この13年間がそうじゃないと思えたんだい?」
「おい待てよ爺さん、まさか」
「ねえ、糸巻の。各地で行われた裏デュエルコロシアム、どうしていち地方のカードショップ店主に過ぎない私が把握できていたと思う?情報網も何もない、あれは全て元を辿ればこの私が、七宝寺守が胴元さ。可哀そうなことをしたデュエリストたちにせめてもの生活の糧を与え、デュエルモンスターズの恐ろしさを定期的に見せることで各国を委縮させ、そして私自身が「BV」開発のための戦闘データを取る……この一石三鳥を得るために開催し、同時にある程度の情報はデュエルポリスに売り込みそれを壊滅させることで世
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