ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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グ」
逢魔のシンクロではない、場のチューナーとチューナー以外のモンスターによって行われる普通のシンクロ召喚。シンクロ召喚の原点に還る、糸巻の一手。
「戦場切り裂く妖の太刀よ、冥府に惑いし亡者を祓え!シンクロ召喚、戦神−不知火!」
☆6+☆2=☆8
戦神−不知火 攻3000
その右手には揺らめく妖刀を、その左手には炎の形を模したオレンジ色の剣を。銀髪に色白な肌の色も相まって幻想的な雰囲気漂わせるその剣士は二刀流を操る、不知火の火力担当。糸巻が選んだ、この場を任せるに相応しい1枚。
「戦神の特殊召喚成功時、その効果を発動できる。アタシの墓地からアンデット族1体を除外して1ターンの間その攻撃力を得る、不知火流・龍頸の太刀!」
戦神−不知火 攻3000→5500
左手の剣を体の前に構え、目を閉じて集中する戦神。すると何の変哲もなかったはずの剣がその内側から発光し、目も眩むような爆炎を放つ。先ほどまでの数倍の長さを持つに至った炎の刀身、そこから放たれるその一太刀はまさに一撃必殺、竜の首でさえもただ一太刀で刎ね飛ばすほどの破壊力を誇ることは容易に想像がついた。
「そして、ゲームから除外された刀神−不知火の効果を発動。相手モンスター1体を選択し、その攻撃力を500ダウンさせる」
E・HERO グランドマン 攻4200→3700
それ自体が意志を持つかのように飛び掛かる火の粉がグランドマンに降り注ぎ、確実にその動きを鈍らせる。消えない炎と、堕ちた英雄。今まさに限界を超えて燃え盛らんとする炎と、傷つき揺らぐ英雄の輝き。対照的な両者を挟んで糸巻と七宝寺が、デュエルポリスとテロリストが睨みあう。
口火を切ったのは、糸巻だった。伸ばした指をまっすぐに突きつけて、戦神へと指示を飛ばす。
「バトルフェイズだ、やれ!戦神−不知火でグランドマンに攻撃、不知火流秘伝・五閃の難題!」
炎を纏ったことで自らの背丈よりも巨大になった自らの剣を、まるで重さなど感じさせない滑らかな動きで構えた戦神が、強く一歩を踏み込んだ。と見る間にその姿はたちまちグランドマンの目前にまで迫っており、肉薄したその姿勢から炎の軌跡が5つ同時に走った。剣を振るあまりの早さに残像が生じ、一振りしかないはずのそれが5つに分裂したかのように見えているのだ。青から赤、そして白とそれぞれ炎の色も異なるそれが、同時に英雄へと襲い掛かる。
……だが。その5つの炎は、そのいずれも眼前の獲物には届かなかった。虚しく空を切った刃からは宿っていた炎がたちまち消えていき、元の形に戻ったそれを手に戦神が、糸巻が、同時に上を見る。
「まさか!」
「惜しかったねえ、糸巻の」
老人の声が、無常に響く
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