ターン40 幕開け、あるいは幕引き
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「残念だったな、爺さん。でもよ、せっかく13年ぶりのドリームマッチなんだ。そんなあっけない終わらせ方じゃなくて、まだまだアタシらと遊ぼうぜ?」
「まったく、年寄りをあまり熱くさせるものじゃないよ。ついつい年甲斐もなく張り切っちゃうじゃないか、糸巻の。それと若いの、ほんの少しだけ命拾いしたね。カードを1枚セットして、ターンエンドさね」
ターン終了の宣言とともに先ほど星遺物を巡る戦いによって除外されていたイゾルデがメインモンスターゾーンへと帰還し、長い長い1ターンが終わりを告げた。
今の猛攻の代償として老人の手札は2枚、それもそのうち1枚は見えているインスタント・ネオスペースのみだが、場には依然としてイゾルデ、そして攻撃力4200ものグランドマン……さらに、その正体を明かさない伏せカード。
並び立つ英雄を前に、糸巻の機転によってかろうじて敗北を避けた鳥居がカードを引くためデッキトップに手をかける。その前にちらりと糸巻の方を見るが、視線に気が付いた意固地で姉御気質なこの上司は肩で息をしながらも気にすんな集中しろといわんばかりに軽く手を振ってみせた。
言いたいことはいろいろとあったが、どれも糸巻の意思に反するだろう。すべて堪えて劇者の顔に戻り、カードを引く。
「『さあ始まりますは第二幕。ついに姿を現した英雄の中の英雄、グランドマンの猛攻を前に、どう立ち向かうか魔界劇団!まず取り出しましたるは魔法カード、名推理!こちらは今宵のお客様にも参加していただき、その答えによっては今後のストーリーが大きく変化いたします。ご準備のほどはよろしいですか?』」
名推理。相手プレイヤーがレベルを1つ宣言し、ついでプレイヤーがデッキの上から通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを順にめくっていく。もし最初に出たモンスターのレベルが宣言通りならばそのカードは墓地へ、しかしそれ以外の数字が出た場合はそのめくられたモンスターが特殊召喚される。
もっともそんな説明、この老人には必要としないのだが。
「ふむ、では……おそらく魔界劇団のレベル分布から考えれば、4を宣言するのが最も特殊召喚の確率を抑えられるだろう。だが、ひひっ。上振れを引かれたらたまったものじゃないからね、ここは7を宣言させてもらうよ」
「『ありがとうございます、ご老体。では、宣言されたレベルは7!それでは皆さんご注目、私のデッキから出てくるカードは……』」
「待った待った、もうひとつ保険をかけさせてもらうよ。名推理にチェーンする形で手札から、増殖するGの効果を発動。このターン若いのが特殊召喚するたびに、私もカードを引かせてもらう」
抜け目なく増殖するGを切ったことで、彼の言うとおり最低限の保険がかけられる。もしレベル7であるビッグ・スターかメロー・マドンナがめくられた場合は
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