暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga30-B遥かに永き旅路の果てへ〜Have a good journey〜
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挨拶を出来るお別れや。挨拶がきちんと出来るのは嬉しいのに、お別れが近付いてることを思い知らされるようで、それを拒絶しようと頭の中がぐちゃぐちゃになる。

「はやて」

「っ・・・!」

左手をぎこちなく動かして、私の右手にそっと触れてくれた。私の知る力強いルシル君の手とは思えへんほど弱々しい。精いっぱい伸ばして、触れてくれたその手を私は握り返して、お互いの指を絡ませる、俗に言う恋人繋ぎをする。

「体温、低いな・・・」

「あぁ、すまない。もう心臓も血管もない体になっているから、温かみを失ってしまって・・・」

「ううん。体温が無くてもルシル君の大きな手や。こうして触れられることが出来て、私は嬉しいよ」

温かみは無いけどゴツゴツとした男性特有の大きな手は確かに今、私の手の中にある。きゅっきゅっと握る力を強めたり弱めたりしてるとパキンと音が鳴って、「ルシル君!」の指にヒビが入ってしもうてた。血の気が引いて手を離そうとするんやけど、思い止まって「私の魔力、持ってって!」って提案した。“エインヘリヤル”のルシル君との戦いで消費したというてもまだまだ残ってるし、少しでもルシル君に使ってもらいたい。

「早く!」

「あ、ああ! すまない! 女神の祝福(コード・イドゥン)!」

「ぅん!・・・っはぁ・・・ふぁ・・・!」

魔力をこんな風に吸収されるなんて初めてな体験で、なんやぞわぞわする。変な声が出ぇへんように口をキツく結んで、吸収が終わるまで耐えた。で、魔力の吸収が終わってもルシル君のヒビの入った指は元に戻ってへんかった。

「ありがとう、はやて。助かったよ」

「どういたしまして・・・って、ルシル君。指・・・」

「あぁ、ガーデンベルグとの闘いに備えて蓄えたんだ。体の修復はその時までお預けだ」

「そ、そうか・・・」

そうゆうことならこれ以上触れ合っててルシル君の体を壊すわけにはいかへんから、手を離そうとしたんやけど、この手を離したらそれこそホンマにお別れになるって思うて離し辛くなった。ルシル君もそれを察してくれたんか、今にも崩れそうな指を曲げてもう一度握ってくれた。

「ルシル君・・・! ・・・いやや・・・」

「はやて・・・?」

「やっぱり、いやや。解ってる、ルシル君を引き留めることは、ルシル君を本当に殺すこと繋がるとゆうことくらい・・・! それでも! ルシル君と離れたくない! 明日からホンマにルシル君が居らん世界になるなんて・・・悲しい、寂しい・・・!」

感情の決壊。涙が止め処なく溢れてきて、ルシル君の決心を鈍らせるようなことを口走ってしもうたから「ごめん、なさい・・・ごめんな」と、空いてる手で口を押えながら謝る。

「はやて・・・。俺もはやて達と一緒に居られなくな
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