暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga30-B遥かに永き旅路の果てへ〜Have a good journey〜
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ティナに戻します」と言って目を伏せた。セラティナに代わったのが、纏う雰囲気から感じ取ることが出来た。そんでセラティナも「ありがとう」と、ルシル君と握手してる右手をキュッと握り締めた。

「・・・トリシュ」

「っ!・・・やっぱり、ですか・・・」

ルシル君に名前を呼ばれたトリシュが、ホンマに小さな声で呟いたのが聞こえた。寂し気に私をチラッと見た後、「はい。ここに」とルシル君の前に移動した。セラティナと入れ替わるように立ったトリシュにルシル君は「本当に助けられてばかりで、感謝の念しかないよ」と微笑んだ。

「いいえ。当然のことをしてきたままでです。シュテルンベルク家の大恩人、セインテスト家。その子孫であるあなたに助力することは、シュテルンベルク家の使命でした。が、それ以上に私個人があなたに恋をしていたから、少しでも力になりたかった。ですが、まさかオーディン様本人とは。本当に数奇な運命としか言いようのない・・・」

「本当に・・・。エリーゼの願うままに行為に至ってしまったわけだが、俺も彼女との間に子が生まれると思わなかった。ただな、トリシュ。これだけは信じてほしい。確かに最初はエリーゼの強引さに当てられていたが、彼女もまた長い旅路の中で出逢えた愛おしい女性だった。ちゃんとそこには愛があったと思う。だから、シュテルンベルク家は俺にとって宝だよ。もちろん君もだ」

「・・・そう言ってもらえて、エリーゼ卿も、歴代の当主様たちも、兄様も、光栄に、誇りに、幸せに思うでしょう。もちろん私も、とても嬉しいですよ。・・・ルシルさん。お疲れさまでした。良い旅路を」

――乙女の祝福(クス・デア・ヒルフェ)――

シャルちゃんと同じようにルシル君の唇にキスをするかと思うてたトリシュは、ルシル君の左頬にキスをした。ルシル君も少し驚いてるみたいやけど、すぐに「魔力、ありがとう。助かるよ」とトリシュに微笑んだ。なんとなくやけど察することは出来た。トリシュは、ルシル君への想いを完全に絶ったってことが。

「ルシル君!」「ルシル!」

トリシュがルシル君から離れると同時、リインとアギトがルシル君に駆け寄ってしがみ付いた。とうとう私たち八神家が、お別れを済ませる番になってしもうたわけや・・・。2人だけやなくてザフィーラ、シャマル、ヴィータ、シグナムと続いてルシル君の側へ。

「リイン、アギト。今日まで本当にありがとうな。アギトにはベルカ時代より世話になった」

「ルシル君! リインも、ありがとうですよ〜! いっぱい、いっぱい、ありがとうですよ〜!」

「あたしを救ってくれて、アギトって名前をくれて、家族をくれて、ありがとう! オーディンに、ルシルに逢えてマジで良かった!」

「ルシル君。私からもお礼を言わせて。あなたがオーディンとして私
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