第十六話 はじめての時その十二
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その入部届けを書いてだ。そしてだった。
彼は部活にも入った。その学園生活はさらに充実したのだった。
彼は幸せの中にいた。これまでとはうって変わって。
それで家でもだ。おばちゃん達にこう言うのだった。
「僕、今凄い幸せだよ」
「そんなにやねんな」
「物凄い幸せやねんな」
「うん、本当にね」
こう言えた。確かに。
「何かもう何もかもが充実しててね」
「それはええことやで」
おばちゃんはそうした希望の言葉を聞いて満面の笑みで言ってきた。そしてだ。
ぽぽちゃんもだ。おばちゃんと同じ笑顔でこう言ってきた。
「今の希望凄くええ顔してるで」
「いい顔って?」
「明るい顔してるわ」
御飯を食べながら笑顔でだ。希望に言ってきたのである。
「ほんまにな」
「そうなんだ。やっぱり」
「この御飯が美味しいだけやないやろ」
「うん、確かに美味しいけれどね」
今日のおかずは冷奴に筑前煮だ。その二つを食べながらの言葉だった。
「それとね」
「そやろね。食べ物が美味しいだけやなくて」
「気持ちが。明るいんだ」
だからだ。希望は今幸せだというのだ。
「こうして生きているだけでね」
「生きているだけで幸せってな」
「そう感じられたらええで」
おばちゃんもぽぽちゃんもだ。それがいいと話す。
そしてだ。二人で希望にこうも言ったのである。
「今お友達もおってあの女の子もおって」
「希望一人やないさかいな」
「そやから幸せやねんな」
「そやねんな」
「そうだよね。僕一人じゃないからね」
笑顔で言えた。希望はここでも。
そしてだ。今度はおばちゃん達を見て言ったのだった。
「おばちゃんにぽぽちゃんもいるからね」
「あっ、うち等もかいな」
「希望が一緒にいて幸せって思うねんな」
「そうだよ。だって前はあの家だったから」
両親のいるだ。その家だからだとだ。希望はここでは暗い顔になった。
「家に帰ってもね」
「楽しくなかってんな」
「幸せやなかってんな」
「うん、全然楽しくなかったよ」
家のことを思い出してもだ。それは全くだった。
「全然ね」
「そやけど今はやねんな」
「この家にいて幸せやねんな」
「うん、そうだよ」
その幸せで笑顔になっている顔でだ。希望は答えた。
「とてもね」
「そやったらもっとな」
「うち等も希望笑顔にしたるで」
「えっ、どうしてかな、それって」
希望を今よりも笑顔、幸せにするという言葉にだ。彼はすぐに問い返した。
「今よりもっと心込めて美味しい御飯作るで」
「希望の為にな」
「今よりもって。今でも凄く美味しいのに」
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