第十六話 はじめての時その十一
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「それで、ですけれど」
「写真部に僕も?」
「はい、どうでしょうか」
部活に誘ってきたのだ。彼を。
「楽しいですよ。いい人ばかりですし」
「それに友井君もいるからね」
「だからどうでしょうか」
笑顔でだ。また言う真人だった。
「一緒に。部活も楽しみませんか」
「ううん、折角だけれどね」
「あっ、あの娘とですね」
「うん。千春ちゃんといつもプールに行ってるからね」
「だからですか」
「部活は。折角だけれど」
「いえ、部活は放課後だけじゃないですから」
真人は普段とは違っていた。今はだ。
少し身を乗り出して、彼が買ったメロンパンを食べながらだ。こう希望に言った。
「お昼もありますよ」
「お昼休みの時間?」
「それに朝早くも」
その時間もあるというのだ。
「部活の時間はありますから」
「じゃあ」
「お昼だけでもどうでしょうか」
「僕。写真部にいていいかな」
「はい、是非」
その写真部である彼からの言葉だ。
「入部して下さい」
「僕、写真のことはよくわからないけれど」
「大丈夫ですよ」
このことについてもだ。真人は笑顔で答えた。
「初心者大歓迎ですし。それに」
「それに?」
「僕がいますから」
写真のことを知っているだ。真人がだというのだ。
「何の心配もいりませんよ。写真のことでしたら」
「教えてくれるかな」
「勿論ですよ。安心して下さい」
「わかったよ。それじゃあね」
「はい、では」
「入部届けあるかな」
「部室にあります。今から来てくれますか?」
真人の誘いにだ。希望は。
そのまま乗ってだ。こう答えた。
「じゃあね」
「はい、では」
こう言ってだ。そしてだった。
希望はパンと牛乳を食べた後でだ。真人と一緒に写真部の部室に入った。そこはネガの独特の匂いがしてしかもあちこちに写真が飾られカメラも置かれていた。まさに写真部の部室だった。
その部室の机の引き出しの中からだ。真人はそれを出してきた。
「これです」
「これに書けばいいんだね」
「顧問の先生はわかりますか?」
「誰だったかな」
「数学の北森先生です」
「あっ、あの背の高い」
「そしていつもスーツで髪の毛のない」
その先生についての特徴が話される。
「年配の先生です」
「その先生のところに。書いて持って行けば」
「それで入部です。机の上に置いても」
「それでいいんだね」
「若し先生がおられなくても」
それで充分だというのだ。
「では。今から」
「うん、書くよ」
「これで部活でも遠井君と一緒ですね」
「放課後は殆どいられな
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