第六十八話
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うじゃない」
うん。それはあたしも知っている。
アオさんは強い。
あのゲームの中だけではなく、きっと現実でも。
今日、はじめて現実で会ったけど、アオさんの雰囲気から力強さを感じた。
「それに優しそうだわ」
それも知ってる。
結構ドライな物の考え方をする人だし、他人の生き死にに対してはどうでもいいような会話をあの世界で聞いた気もした。
だけど、それでも彼は優しいと、あのゲームの中で接するうちに理解した。
「強くて、優しい。それに顔の造形も整っている。ほら、これだけの要素があって本当にもてないと思う?」
「うぅ…」
確かにそう言われればそうかも。
うぅ…なんかもやもやするよぉ…
「だから、珪子も好きならばどんどんアピールしないと負けてしまうわよ?」
好き?
あたしがアオさんを?
ええええええぇぇぇぇえぇぇぇぇ!?
「ようやく自覚したのかしら。自分の子供ながら鈍いわねぇ」
顔を真っ赤にして内心で絶叫しているとお母さんがそう漏らした。
「あ、ああぁああのっ!」
パニックになって口から出る言葉が意味を成さない。
「落ち着きなさい。とりあえず、メアドは交換できたの?」
こくりと頷いたあたし。
「だったら、明日からリハビリを一緒にやりませんかって誘いましょう。まずはそれから」
ええ!?そんなのアオさんに悪いよぉ。アオさんは既に走れるくらい回復しているみたいだし。
「それから、春までとりあえずこっちに部屋を借りましょうか。お父さんには一人で我慢してもらいましょう。珪子も親しかった友達との距離が離れてしまって居心地が悪いだろうし、いっそこっちで一から始めた方がいいかもしれないわね。そうすると真剣に引越しを考えた方がいいかしら…」
仲の良かった友達はゲームの中にいた二年の間に皆それぞれ別のグループを作っていたし、彼女達の輪の中に今から入る事も難しい。
子供の社会は結構閉鎖的なのだ。
うーうー唸っていたあたしを他所に、とりあえず明日は賃貸を見てくるわと母さんが宣言していた。
「とりあえず、アオさんにメール打っておきなさいね」
お母さんは、私はとりあえずお父さんに電話してくるわ、とそう言って席をたった。
「お…おかあさ〜ん」
あたしの抗議とも言えない声が部屋に響いた。
side out
その日の夕食時。
やはりなのはが当然のように席に座っている風景を眺めながら、先ほど届いたメールに了承の返事を出し、明日からの予定を会話に出した。
「明日から少し海鳴温泉の方で用事が出来たから、帰ってくるのが少し遅くなるんだけど」
「あら、なんの用事?」
母さんがそう聞
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