第六十八話
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
座り込まれていたら尚更だ。
「私は、けい…シリカっていいます。よろしくね、久遠ちゃん」
シリカが丁寧に自己紹介をすると、久遠はてとてととシリカに歩み寄ってその膝にちょこんと乗って丸くなった。
「なでてもいいの?」
「くぅん」
「ありがとう。わぁ、ふわふわだね。うちのピナ(飼っている猫)みたいだよ」
久遠を連れて来た道を戻る。
「あのっ!アオさん、よければ携帯の番号とメアド、交換してくれませんか?」
「別に構わないけど」
携帯を取り出し、赤外線通信でデータを交換する。
「あ、それと、これをあげる」
そう言って取り出したのは一つのパヒューム。
「これは?」
「これは実は魔法の霊薬でね、振り掛けると簡単な怪我なら治せるし、リハビリ中の筋肉に掛ければ筋肉痛をやわらげてくれる優れもの」
と、本当のことを言って嘘っぽく伝える。
シリカにはかなり多くのことを助けられたし、七十五層のボス部屋からの脱出はシリカが居なければ果たされなかっただろう。
だから、これは感謝の印だ。
「へぇ、そうなんですか」
「あ、あれ?信じるの?」
「なんとなく、アオさんなら有るような気がします」
「そ、そう?」
なんだろう…シリカの間違った方向の信頼感は…
「とりあえず、寝る前にほんのちょっと飲んでみてもいいかもしれないね。足りなくなったら水を入れてここのボタンを押すとカプセルが押し出されて水に溶ける仕組みになってるから」
「分かりました」
母親の所にシリカを送り遂げ、久遠を連れて今日のところは家に帰ることにした。
聞けばしばらくこの温泉に滞在するとの事だし明日も会えるだろう。
side シリカ
アオさんと別れ、お母さんに車椅子を押されて今借りているこの旅館の部屋へと戻ったあたし。
部屋の奥にあるフローリング張りの縁側に設置してある背もたれの高いイスに座ると、お母さんが部屋に設置されている急須でお茶を入れ、対面に座った。
私は湯のみを掴み、一口すすった所でお母さんが盛大な爆弾を投下した。
「あの人でしょう。珪子の好きな人」
その言葉に驚いたあたしはお茶を気管に入れてしまい盛大に咽た。
「ケホッ、ケホッ…なっ!何言ってるの、お母さん!?」
あたしは誰か好きな人がいるとか言う話をお母さんとしたことは無い。
そもそも好きな人なんていないもん!
「アオさんはソードアートの世界でお世話になった人で…一緒に冒険した仲間って言うか…」
「ふふ、自覚は無いみたいだけどはっきりしとかないと手遅れになるわよ?彼、きっともてるもの」
え?
「顔のつくりがって言う訳じゃなくて。彼、強そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ