第六十八話
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きてくれるはずだ。
そう思った俺はまだなにも入れていないので二つ空いているスキルスロットに何か役に立ちそうなスキルが無いかを探し、発見した『拡声』を入れる。
これは名前から言ってたぶん声を大きくする物だろう。
場所を人が集まる広場へと移動する。
勇気を出して歌おうと思っても中々歌えずにその日は日も暮れてしまった。
二日間。
それは歌いだす勇気を出すために要した時間だ。
動悸が激しくなるような幻覚に襲われながらも何とか歌い始める。
「まっくすは〜〜〜と」
プリキュア、プリキュア
全てはここから始まった。
この後に出会う彼らとはゲームの中だけで無く、帰還したリアルでも切れない繋がりになるのだが、それはまた後の話だ。
◇
木枯らしの吹きすさぶ十一月に現実世界へと帰還した俺に待ち受けていたのはソラ達との再会と、寝たきりだった為に低下した身体能力と、現実社会の現状だった。
当然通っていた学校は休学中で単位は足りてないので当然留年していたし、非日常が日常であるデスゲームの中に二年間も閉じ込められていた俺達SAOサバイバーは倫理観にズレが有るのではないかとカウンセリングに回された。
ゲーム内ではPKをしたことは無いし、何とか早期でカウンセリングも終わり、今は落ちた体力を戻すべく体力作り中だ。
いやぁ、まいったね。
起きた時なんかは歩く事で精一杯だったからね。
神酒を取り出し口に含み何とか普通に走れるくらいまでは回復したが、それでも落ちた筋力が戻ってくるわけじゃない。
学校などはリハビリが済むまではと休学し(どうにも新年度からSAOサバイバーを集めた学校が新設されるとの噂もあるが)体力づくりに励んでいる。
海鳴の街を久遠を連れてランニング(数十キロ単位)し、折り返し地点の海鳴温泉で汗を流し、帰ってくるのが天気の良い日の日課になりつつある12月中旬。
まだ雪の降らない山道を駆け抜け、目的地の海鳴温泉へと到着した。
「じゃあ、俺は温泉に浸かってくるから、久遠も遠くに行かないようにね」
「くぅん。大丈夫、そんなに遠くには行かないから」
子狐の姿のまま森の方へと散歩に行っている久遠。どうやら顔なじみが居るようだ。
俺はそんな久遠を見送って温泉旅館に入浴のみでやっかいになるべく歩をすすめた。
湯に浸かって汗を流すと、着替えを以前グリード・アイランドから持ち帰った『勇者の道具袋』をポケットから取り出した。
いやぁ、いいね。この道具袋。
中に入れた物は劣化せず、重さも消失するしね。持ち運ぶのは少しシンプルな巾着のような道具袋のみだから殆ど邪魔にならない。
そんな便利アイテムから俺は着替えを取り
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