第十六話 はじめての時その八
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「それ一緒に飲まない?」
「そうだね。コーラだね」
「いいよね。映画館の中で飲むには」
「うん、確かこの映画館にもあるしね」
「じゃあコーラ飲もう」
笑顔でだ。千春は横に座る希望に言った。
「そうしよう」
「わかったよ。じゃあコーラ二つだね」
「一緒に飲もうね」
「買ってくるよ」
こう言ってだ。希望が立ち上がろうとすると。
千春もだ。こう希望に言ってきた。
「千春も一緒に行っていい?」
「千春ちゃんも?」
「希望と一緒にいたいから」
だからだ。一緒に行きたいというのだ。
「そうしていい?」
「うん、有り難う」
「有り難うって?」
「一緒に行ってくれるって言ってくれて有り難う」
その言葉自体がだ。希望にとっては嬉しかった。だから御礼を言ったのだ。
「それじゃあ一緒にね」
「コーラ買ってそれでね」
「飲みながら映画観ようね」
「そうしようね」
「はじめてだけれどね」
また言う希望だった。
「この映画観るのは」
「ディーンって凄いスターだったっていうよね」
「今でもこうして上演される位だからね」
それ自体が何よりの証拠だった。あの事故死から半世紀経とうとしているがまだその主演映画がこうして他の国で上演される程のスターなのだ。
そのディーンだからだとだ。また言う希望だった。
「観るのが楽しみだよ」
「だよね。それじゃね」
「観ようね。今からね」
「コーラ買ってそれからね」
「二人でね」
こう話してだ。そのうえでだった。
二人でコーラを買ってそれからだ。二人でその映画を観た。
モノクロだったが映画のクオリティは素晴しいものだった。映画を最後まで観てからだ。
千春は満足した顔でだ。観客席でこう言った。
「よかったね」
「うん。古典的名作って言われるだけはあるね」
「こうした映画もあるのね」
「僕もね。こんな映画ははじめて観たよ」
彼が今まで観て来た映画とはまた違っていた。エデンの東は。
「何ていうか。感動したよ」
「千春もだよ」
「今この映画館に来てよかったよ」
「そうだよね」
「だからね」
希望はさらに言った。
「今日はデートはこれで終わりだけれど」
「また今度ね」
「うん、明日またね」
今度ではなくだ。明日だとだ。希望は言った。
「明日また会おうね」
「さよならってね。永遠じゃないよね」
「そうだよ。また会うまでのね」
「少しの挨拶だよね」
千春もだ。こう希望に言う。
「また会うまでの」
「そうだよね。それで会う時はね」
「おはようだよね」
「そう挨拶しよう。明日ね」
「うん
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