砂漠編 喧嘩のついでに町を救った男達
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
く飲み込んでしまうのだ。少女の懸命な説得にも耳を貸さず、町民達は「絶対的な死」へと吸い寄せられていく。
「……神、様ぁっ」
その光景に頬を濡らし、苛烈な陽射しを仰ぐ彼女は。か細く白い指を絡め、ただ懸命に祈りを捧げていた。
今は亡き町長の、一人娘として。
「どうか、どうかこの町を……皆を、助けてっ……助けてくださいっ!」
決して届くことなどないのだと知りながら。それでもなお、縋るように。
◇
――未完成の「翡葉の砦」を戦場とする、カムラの里の命運を賭けた死闘から約半年。
「だあァッ、ほんっと最悪だぜ! よりによってお前と同じ竜車に乗り合わせるなんてよッ!」
「奇遇だな。俺もまさか、お前がまだ生きているとは思わなかったぞ」
「んだとォ!?」
「お前らなぁ……」
レウスシリーズを纏うアダイト・クロスター。リオソウルシリーズを装着しているディノ・クリード。そして、ゴシャシリーズで全身を固めている、ドラコ・ラスターの3人は。各々の旅先で、思いがけない再会を果たしていた。
砂漠を抜けた先にある都市を目指し、商隊の竜車に便乗していた彼らは、偶然行き先が同じだったのである。
新たな装備を揃えるため。武者修行のため。理由は様々だが、目的地は完全に一致している。本来なら同期として互いの無事を喜び合い、和気藹々とした雰囲気になっている……ところなのだが。
「ただでさえ竜車の中でも、クーラードリンクが必要になる暑さなんだぞ。今ぐらいそのバカでかい声を我慢出来んのか、この阿呆が」
「お前の減らず口が絶えねぇからだろうが! 今度こそ決着付けてやろうか!?」
「そうしたいのならさっさと掛かって来い。俺はいつでも構わんぞ」
「お、おいドラコ! 竜車の中でバタバタ騒ぐなよ! ディノも煽るようなこと言うなってのッ!」
「……ふん」
「ハンッ!」
訓練所時代から何かと反りが合わず、衝突が絶えなかったディノとドラコはまさしく犬猿の仲であり。和気藹々どころか、一触即発の状態だったのである。
仲裁に奔走するアダイトも、彼らの喧騒を背に竜車の手綱を引く御者も、絶え間ない口喧嘩にすっかり辟易している。
「……んっ? な、なんだありゃあ! モンスターかぁっ!?」
「なに……!?」
「モンスターだって!?」
その状況が一変したのは、竜車がオアシスの近くを通り掛かり。いよいよディノとドラコの対立が、殴り合いに発展しようとしていた時であった。
竜車目掛けて突進してくる「鳥竜種」の影に御者が悲鳴を上げた瞬間、3人の少年の眼が「ハンター」としての色を帯びたのである。
「ディノ、ドラコ!」
「……あぁ」
「おうッ!」
それまで喧嘩ばかりしてい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ