特別編 追憶の百竜夜行 其の十二
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、ビオさんも休んでてくださいよ。そっちこそフラフラじゃないですか」
ビオ、カノン。
「皆……勝ったんだね。僕もやっと……これで、本当の……仲間にっ……」
ヤツマ。
「ウツシ……間に合ったんだ、良かった……」
「ハッ……あたしのバスターソードも、すっかりボロボロになっちまったなぁ」
「じゃあ、また新しく作ればいいさ。素材集めくらい、俺がいつでも付き合うよ」
「うーん、おアツいねぇ! じゃあそんな2人の将来に向けて、俺から一曲プレゼントしようか!」
「立てる力も残ってないくせして、何言ってるんですか全く……まぁ、私達もですけど」
エルネア、イスミ、ディード、ムスケル、フィオドーラ。
限界以上の戦闘力を引き出す、「反撃の狼煙」の反動なのか。彼ら同期達にはもはや、まともに立てるだけの体力も残っていない。
この未完成の砦を守り抜くために立ち上がった、29人ものハンター達は、とうにその全力を使い果たしていた。
「だ、大丈夫か皆ッ! まだ生きてるよなッ!?」
「酷い怪我だ……とにかく、急いで手当てを! 勝利を祝ってる場合じゃないぞッ!」
「お、おうッ!」
やがて駆け付けてきた里守達の肩を借りて、ようやく地を踏めるようになった彼らは、続々と戦場を後にしていく。歓声を上げる余力すらないまま、若者達は笑顔だけを咲かせていた。
「里長……」
「……ありがとう、ウツシ。そして皆も、よくやってくれた。お前達こそ正しく、この里の未来を照らす希望の焔だ。……俺の眼はやはり、間違ってはいなかった」
己の傷も顧みず、ウツシに肩を貸しているフゲンも。誇らしげに笑みを浮かべ、明けの明星を仰いでいた。
――そのあまりの眩さ故に。彼ですら、気付いていなかったのである。
自分達を崖の上から見下ろしていた、鬼火を纏う怨虎竜の眼光。そして、遥か天空に輝く赫い彗星に。
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