特別編 追憶の百竜夜行 其の十一
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霧散してしまう。
「帯電が解除されたぞッ! さぁ皆、『仕上げ』の時間だッ!」
度重なる攻撃とフィオドーラの毒矢、そしてムスケルの殴打による角の破壊。それらのダメージが積み重なったことにより、ジンオウガはすでに満身創痍となっていた。
消耗しきっている雷狼竜の爪をかわし、頭を踏み台に軽やかに跳びながら――ムスケルはその筋肉美を強調しつつ、攻撃力強化の演奏を完了させる。それが、決着への序曲であった。
「全く……どいつもこいつも変人だけど、頼りになる奴らばっかなんだよねぇっ!」
「同感。……でもやっぱり、変わってる」
「本当ですよっ! 皆さんって、本当に不思議ですよねっ!」
イスミの全身全霊を込めた、バスターソードによる溜め斬り。頭部に狙いを集中させた、エルネアの射撃。自分も「変人」に含まれていることには全く気づいていない、フィオドーラの狙撃。
「……ふふっ、良いじゃないか。強くて頼りになる変人の集まり、それが俺達ってことさッ!」
そして、帯電能力を失ったジンオウガの背に飛び付き、とどめの属性解放突きを放つディード。彼らの総攻撃によって、ついに雷狼竜の牙城が崩壊するのだった。
轟音と共に倒れ伏していく、ジンオウガの躯。そこから素材を剥ぎ取る間もなく、さらなる「新手」の群れがディード達に迫ろうとしていた。
「ちっくしょう、狩っても狩ってもゾロゾロと……キリがないったらありゃしない! 一体いつまで続くんだいッ!?」
「アダイト達が首魁を倒せば、ケリが付くはずだ。あいつらを信じろ、この戦いが終わるまでッ!」
「……ふっ、結局それしかないってことか。しょうがないねぇ、こうなりゃ死ぬまで付き合ってやるよッ!」
長時間に渡る戦闘により、集中力も体力も限界に近づきつつある。だが、それでも彼らは相棒である得物を手に、モンスターの群れに挑み続けていた。
今に、頼れる変人仲間が首魁を倒して、この夜行に終止符を打ってくれる。その可能性に、望みを託して。
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