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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の九
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こまでだぜ、デカブツがァッ!」

 その原点を呼び起こされたヤツマは――震え上がりながら、それでも顔付きだけは勇敢に。岩陰から飛び出し、リオレイアの背に怒号を飛ばす。

「待たせたな皆ッ! 俺の奏でる爆音で、スタミナ切れなんか吹っ飛ばしてやるぜッ!」
「なに……!?」
「あそこにいるのは……ヤツマか!?」

 その第一声に、雌火竜のみならずアダイト達も反応し、ヤツマに注目していた。同期達の中でも一際臆病だった彼らしからぬ登場に、誰もが目を剥いている。

(違う……ウツシがこの光景を見ても、アダイト達に逃げろなんて言わない。この戦いがどういうものかを分かった上で、覚悟を決めて僕達に依頼を出したんだから……一緒に死ぬまで戦うつもりなんだ、きっと! アダイト達も、その気で戦ってる。でも……僕は逃げるのか? アダイト達と一緒に、ウツシに「覚悟」を見込まれていた僕が、ここで逃げるのか!?)

 それから間もなく、ヤツマはアダイト達をサポートするべくエムロードフラップを取り出し、兄譲りの演奏を開始した。全員のスタミナ減少を抑えつつ、リオレイアが生み出す風圧に耐えられる効果を与える、アダイト達のための旋律である。

(できない……それこそできないッ! 僕みたいな臆病者が今さら逃げ出したって、どうせ誰も責めやしない! それでも僕だけは、僕を許せなくなる! ここで背を向けてしまうような奴が、皆の「同期」であることを誇れるわけがない! 逃げた先で、ハンターとして立ち直れるわけがないッ!)

 その勇ましい声も、猛々しい音色も、毅然とした顔付きも。彼の兄さながらの逞しさに満ちているのだが――地を踏む両足だけは、ヤツマ本人の胸中を反映させているかの如く、震え上がっていた。目尻には、恐怖と悔しさに由来する涙も溜まっている。

 どんなに気弱な自分を偽ろうとしても、この土壇場でそれを貫くことなど出来るはずもない。しかしそれでも、情けない膝の震えを露わにしてでも、必ずこの戦いに勝利する。

「ヤツマ……!」

 せめてそれだけは完遂せねば、敬愛する兄にも、こんな自分を見捨てなかった同期達にも、報いることはできない。そんなヤツマの死力を尽くした演奏は、音色を通じてアダイト達にさらなる力を齎していく。

「……! ヤツマ、危ないッ!」
「おぉおおぉおッ!」

 だが、ヤツマを「倒すべき敵」と認識したリオレイアは、演奏を阻もうと猛烈な勢いで突進して来た。それを迎え撃つべく、演奏を中断したヤツマはエムロードフラップを振り上げ、渾身の一撃を放つ。

 ――通常の大型モンスターなら、一撃で昏倒するレベルの衝撃であった。が、にも拘らずリオレイアの突進はそのまま止まることなく。

 ヤツマの身体を、遥か上空へと跳ね飛ばすのだった。

「ヤ
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