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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の六
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は、この俺が務めよう」

 その一言を合図に始まった「決闘」は、熾烈という言葉に尽きる凄まじい迫力であり。多くの飛竜を狩猟してきたクリスティアーネですら、割り込むタイミングを見出せないほどの激しさであった。

「うおおぉおおッ!」
「ディノ様……!?」

 だが、回避よりも攻撃を優先しているせいで、リオソウルシリーズの蒼い装甲は傷だらけになっている。その獰猛なまでの戦いぶりは、どんな時も冷静沈着なディノらしからぬ立ち回りだった。

「ディノ様、深追いは禁物です! あなたらしくもありませんよ、ここはもっと慎重に……!」
「アダイトも、ナディアも、ウツシも……この群れの首魁と戦っているんだぞ。使い走りの雑兵1匹すら狩れないで、何が好敵手か……!」

 その原因は、焦り。訓練所で共に競い合い、切磋琢磨してきたライバル達は今、より強大な敵を相手にしている。
 そんな状況の中で、自分だけが尖兵如きに手こずっているのだという焦燥感が、ディノを駆り立てているのだ。

 しかし、そんな枷になるような感情を抱えていては本来の実力など発揮できるはずもなく。度重なる負傷により、徐々に動きが鈍り始めていたディノにとどめを刺すべく、ナルガクルガは己の鋭利な尾を振り上げていた。

「……!」
「ディノさん、ご無事ですか!」

 それを間一髪で阻止したのは、カムラノ鉄弓による狙撃。高台の上から迅竜を捉えていた、ベレッタ・ナインツの援護射撃だった。
 黒髪のツインテールを風に靡かせながら、弓を引き絞る彼女の眼は、決して逃すまいとナルガクルガを射抜いている。その華奢な身体は、メルホアシリーズの防具によって固められていた。

「……もう、誰も傷つけさせません。姉様のような犠牲者は、もう絶対に出させない。全てのモンスターは、この私が狩ります!」
「ベレッタか……全てのモンスターとは、大きく出たものだな。だが、その覚悟は本物と見た。助太刀、感謝するぞッ!」

 モンスターとの戦いで姉を失い、深い悲しみを味わった彼女だからこそ。同期達という第2の家族を脅かす存在が、何よりも許せなかったのである。
 放たれた矢を通じて、その悲痛なまでの信念を汲み取ったディノは。ライバル達に勝つことよりも優先すべきことを思い出すと、澄み渡った眼で迅竜と向き直り――再び、愛刀を振るう。

「きゃあぁあッ!?」
「ベレッタ様ッ!」
「まさか、轟竜まで来たというのか……!」

 だが、ようやくディノの動きが本来の冴えを取り戻したのも束の間。今度は、突出した攻撃性を誇るティガレックスの突進により、ベレッタが居た高台が倒壊してしまうのだった。

 高台から落下するベレッタの小さな身体を、クリスティアーネが咄嗟に抱き止めた頃には。すでにティガレックスの鋭い眼が、
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