特別編 追憶の百竜夜行 其の六
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続々と迫り来るモンスターの大群に対し、ウツシの同期達も懸命に抗っている。だが、常軌を逸する物量は彼らの尽力を以てしても抑え込めるものではなく、とうとう何体かのモンスターは門前にまで到達してしまっていた。
ここまで来ては、もはや後がない。最終防衛線を担うハンター達は、新人らしからぬ気迫を纏ってモンスター達に挑み掛かって行く。
「絶対に……ここから先は、何者も通しはしません。クリスティアーネ・ゼークト、推して参りますッ!」
その急先鋒として飛び出したのは、ディアブロDシリーズを纏うクリスティアーネ・ゼークトだった。
男顔負けの長身と黒く艶やかな長髪、そしてグラマラスな肢体の持ち主である彼女は。その体躯に相応しいフルミナントソードを振り上げ、群れの先頭に立つナルガクルガに挑んでいく。
だが、その巨体に見合わない俊敏さで飛び回る迅竜の挙動は、スピードで劣る大剣使いにとってはかなりの脅威であった。弧を描くように薙ぎ払われる尾は到底かわし切れるものではなく、クリスティアーネは刀身での防御を強いられてしまう。
「くぅッ、やはり強い……! しかし、引くわけには参りません! ウツシ様の故郷を……守り抜くために、私はここまで来たのですッ!」
フラヒヤ山脈の近くに領土を持つ大貴族、ゼークト家。その令嬢という出自でありながら、領民を守る「力」を求めてハンターになった彼女にとって、友人の故郷の命運が懸かっているこの戦いから退くことは「死」にも等しい。
戦いを終えた同期達をもてなすために手配した、専属のキッチンアイルー達も。自分達の勝利を信じて、今も里で待ち続けているのだ。彼らに吉報を届けるためにも、負けるわけにはいかない。
だが、想いの強さだけでは迅竜の速度を捉えることはできないのだ。防御する暇すら与えないほどの疾さで、ナルガクルガの爪がクリスティアーネを襲う。
すると、その切っ先が届く寸前に。真横から飛び出してきたもう1人のハンターが、彼女の身体を抱えて紙一重で爪をかわしてしまう。並外れた身体能力でクリスティアーネの窮地を救ったのは、リオソウルシリーズの防具を纏うディノ・クリードだった。
「……お前独りでは奴の相手は荷が重い。疾さが必要ならば、俺の領分だ」
「ディノ様……! も、申し訳ありません、重かったでしょう?」
「女を抱えて重いと抜かすようでは、武の道など歩めん。俺に言わせれば、誤差の範囲だ」
自分より体格で勝っているクリスティアーネを軽々と抱き上げていたディノは、彼女を優しく下ろすと愛刀の飛竜刀【朱】を鞘から引き抜き、ナルガクルガと真っ向から対峙する。
迅竜もまた、ディノの全身から迸る闘志を敏感に感じ取り、この人間だけはここで始末せねばならないと殺意を露わにしていた。
「……貴様の相手
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