特別編 追憶の百竜夜行 其の五
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ああッ!」
その太刀――もとい狐刀カカルクモナキIを振るっていたミナシノ・ヤクモは、鉄蟲糸を使って空高く舞い上がると、追撃の一閃を赤甲獣の眉間に振り下ろしていく。すでに彼女の刃の威力は、「気刃斬り」と呼ばれる奥義によって最大限にまで高められていた。
有効な属性攻撃を最大火力で叩き込まれては、防御力に秀でたラングロトラでも持ち堪えることはできない。たまらず倒れ伏した赤甲獣の姿が、その威力を物語っていた。
「ふ、ふぅっ……野郎、まだやり返す気でいやがったのか。助かったぜヤクモ、さすがだな」
「ホントッス! ありがとうございまッス! さっすがヤクモさんッスねぇっ!」
「……うふふっ、あなた達が甲殻を破壊しておいてくれたおかげですよ。攻撃もお礼もピッタリだなんて……やっぱり、お似合いなんですね?」
その勝利の喜びを分かち合い、お互いの健闘を称え合う。そこまでは良かったのだが、アカシとレマの「相性」に触れるヤクモの発言に、2人は顔を真っ赤にさせてしまうのだった。
「えっ!? あ、いや、それはその、ッスね……」
「そ、それより次のモンスターを狩りに行こうぜ! 皆だってまだ戦ってるんだ、こんなところでモタモタしてる場合じゃねぇだろッ!?」
「ふふ……そうですね。では、私達も参りましょうか。ねぇ、レマさん」
「……う、うッス……」
レマはしどろもどろになり、普段の快活さからは想像もつかないほどしおらしくなってしまっている。自分の口から言うのは平気だが、他人に言及されると弱いらしい。
そんな彼女を一瞥するアカシは居た堪れなくなり、慌てて他のモンスターを討伐するべく走り出していく。
「本当に……次に会う時が、楽しみになってしまいますね。うふふっ!」
2人が「収まるところ」に収まるのは、当分先になるのだろう。その先に期待を寄せるヤクモも、愛刀を手に次の獲物を求め、レマと共に駆け出して行った。
この戦いを無事に乗り切れば。いつかは、その「未来」を見ることも出来るのだと信じて。
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