第十六話 はじめての時その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「実はアクセサリーショップの後はこの商店街にある映画館に行くつもりだったけれど」
「映画何時からなの?」
「五時からなんだ」
「あと三時間もあるの」
「そう。一時間や二時間なら本屋さんにでも行ってね」
当然商店街のだ。その中にある店のだというのだ。
「そこで時間を潰すつもりだったけれど」
「三時間だと」
「一時間や二時間だけれど。それだけ本屋さんに余計にいても」
「時間が長いよね」
「どうしようかな」
腕を組んでだ。希望は難しい顔になって言った。
「三時間」
「ううんと。何処か別の場所に行かない?」
「別の場所って?」
「五時に、映画館に行けばいいよね」
千春が言うのはこのことだった。
「そうだよね」
「うん、五時にね」
「だったら何処か。商店街とは別の場所に行ってね」
「そこで時間を潰せばいいんだ」
「もう食べるものは食べたし」
そうした選択は消えていた。既に。
「だから他のことで」
「ううん、いつものプールも」
二人が一緒に泳いでいるだ。そこはだというのだ。
「ここから遠いしね」
「プールは行けないよね」
「ちょっとね」
距離の関係でだ。駄目だというのだ。
「他の場所だけれど」
「とりあえずね」
「とりあえず?」
「別の場所に行かない?」
千春は希望にこう提案した。
「別の場所にね」
「っていうと商店街以外の」
「そう。ちょっと離れた場所にね」
「他の場所を見たいの?」
「少しそうなったから」
だからだというのだ。
「ちょっと。行かない?」
「じゃあ。少し離れようかな」
この商店街からだとだ。希望も応えた。
「そうしようかな」
「うん、じゃあそうしよう」
「何処に行くか。具体的にはまだ決めてないけれど」
それでもだとだ。希望は言った。
「少しね。探そうかな」
「歩きながらそうするのね」
「うん、それもデートだからね」
こう言ってだ。そのうえでだった。
希望は千春と共に商店街の裏手に回った。そこから他の場所に行こうとした。
だがここでだ。彼は見てしまったのだった。
そこはホテル街だった。様々な派手な看板が見える。それに城や夢の国を模したホテルも並んでいる。そうしたものを見てこう言うのだった。
「御免、ちょっとね」
「ここって?」
「そういえば商店街の裏ってここだったんだ」
ホテル街だったというのだ。商店街の裏にはよくあるものだ。
「そうだったんだ」
「ここってどうした場所なの?」
「いや、そんなつもりじゃないから」
顔を赤くさせてだ。希望は俯いてそのうえで千春に答えた。
「別に
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ