第十六話 はじめての時その四
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「あと日本のものも」
「他にもあるよね」
「うん、神戸だからだね」
「神戸って港町だからね」
「色々なものがあるよね」
「そうだよね。神戸っていい街だよね」
「それにこのお店もね」
その神戸にあるだ。この店もだというのだ。
「色々なアクセサリーがあって」
「じゃあ。これもね」
千春は扇子も買った。その中華風のものだけでなく。
欧風のものも買った。黒い羽のあるものを。
それを手にしている千春を見てだ。希望は目を細めさせてこう言った。
「よく似合うよ」
「似合ってる?」
「うん。千春ちゃんって白い服着てるじゃない」
それは今もだった。白いブラウスにカーディガン、それにフレアースカートだ。上から下まで全て白で統一している。その彼女を見ての言葉である。
「そこに黒もあるとね」
「似合うの?」
「白だけでもいいけれど」
それに加えてだというのだ。
「黒もあるとね」
「対象的になるけれど」
「そう。その対象的なのがいいんだよ」
まさにだ。そこにあるというのだ。
「千春ちゃんに似合うよ」
「千春って黒も似合うの」
「今まで黒着たことなかったんだ」
「白が好きだから」
だからだ。黒はだというのだ。
「身に着けたこともなかったの」
「そうだったんだ」
「ずっとね」
どれだけかもだ。千春は詳しくはないが話した。
「そうしてたの」
「そうだったんだ」
「そう。千春そうしたことしなかったの」
また言う千春だった。
「黒いものを身に着けたり持ったりするのは」
「そういえば僕も」
希望もだ。夏からいつも千春と一緒にいてもだった。
「黒を持っている千春ちゃんはね」
「見たことないよね」
「着ていることなんてそれこそね」
全くなかったというのだ。希望は己のここ数ヶ月の記憶を辿りながら言った。
「けれど。それでもね」
「この黒い扇子も」
「うん、買うといいよ」
にこりと笑ってだ。希望は千春に答えた。
「今決めた通りにね」
「そうね。じゃあそうするね」
「他に何か買う?」
「ううん、これだけで充分だよ」
もう満足しているとだ。千春はにこりと笑って答えた。
「だからもういいよ」
「うん、それじゃあね」
こうしてだ。アクセサリーも買ってだ。そうしてだった。
希望と千春はアクセサリーショップを後にした。その店の扉の前でだ。
希望が自分の携帯で時間を確めるとだ。その時間は。
「あれっ、まだこんな時間なんだ」
「何時なの?今」
「二時だよ」
昼のだ。それだけだというのだ。
「御昼の二時だよ」
「まだそんな時間なの」
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