第十一話 アルバイト初日その八
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「そうするか」
「そうするのね」
「モコと一緒にいるとな」
自身の妻に微笑んで話した。
「それだけで癒されるからな」
「それはあるわね」
「家族だからな」
「それは私もよ」
「そうだな。モコがいてよかったな」
「本当にね」
「うちに迎えてよかったよ」
モコを見つつ笑顔で話した。
「本当にな」
「一生うちにいて欲しいわ」
「長生きして欲しいな」
「自分達の子供生まれたらこれまで可愛がっても無視する人いるらしいけれど」
「そんなのだともうな」
妻からその話を聞いて怒って言った。
「最初から飼うな」
「そうよね」
「犬はおもちゃじゃないからな」
だからだというのだ。
「それまでは自分達の子供って言ってな」
「人間の子供が出来たらね」
「そちらばかり可愛がってな」
「それまで可愛がっていた子は無視とか」
「おもちゃじゃないんだ」
犬ひいては生きものはというのだ。
「だからな」
「そんなことはしたら駄目ね」
「絶対にな」
「本当にそうよね」
「そんなことするなら」
咲も今の話には怒った顔で語った。
「私も思うわ」
「もう最初からよね」
「飼わない方がいいわ」
「咲もそう思うわね」
「人間の子供が出来ても」
それでもとだ、咲は母のその言葉に頷いて述べた。
「自分達の子供なら公平によ」
「愛情を以て接しないとね」
「駄目よね」
「その言葉忘れないでね」
「それはいいな」
母だけでなく父も娘の今の言葉に言った。
「ずっと覚えておくんだ」
「心に刻み込んでおいてね」
「人には公平に接しろ」
「子供は平等に愛しなさい」
「分け隔てはするな」
「それは絶対に駄目よ」
「そうよね、そんなこと絶対にしないから」
両親にモコを見つつ話した。
「モコは妹だけれどね、私の」
「お父さんもお母さんもあんたとモコ分け隔てしてないわよ」
母は強い声で言った。
「人間と犬の違いはあるから」
「育て方の違いはあっても」
「愛情はね」
これはというのだ。
「同じだけ注いでいるつもりよ」
「実際そうよね」
「そう、どちらも命よ」
咲もモコもというのだ、ひいては人間も犬も。
「それに娘だったらね」
「息子でもよね」
「同じよ」
性別が違ってもというのだ。
「やっぱりね」
「公平に育てて」
「平等に愛情を注がないと駄目よ」
「若し分け隔てしたら」
その場合はどうかとだ、咲は母に問うた。
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