第十六話 はじめての時その三
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そしてその中にあるあるアクセサリーを指差した。それは。
「これいいよね」
「あっ、それがいいんだ」
「うん、このモミの木のペンダント」
千春が指差しているのはそれだった。小さな、緑の三角の葉とダークブラウンの幹のそれだった。まさにクリスマスのモミの木の形だった。
そのモミの木を見ながらだ。千春は言うのだった。
「まずはこれ買うから」
「そう。じゃあ」
希望が金を出すつもりだった。今回は。
「それの他には?」
「これも」
今度はガラスの白鳥だった。それのストラップだった。
「これも買うから」
「白鳥もだね」
「この騎士の人見てたら欲しくなったの」
またその絵を見たのだった。騎士のその絵を。
「だからね。白鳥も」
「その二つかな」
「後は千春が買うよ」
「えっ、僕お金あるけれど」
「いいの。千春もあるから」
だからだ。後はだというのだ。
「千春が買うからね。希望は気にしないで」
「いや、僕も千春ちゃんにプレゼントしたいから」
「千春に?」
「今日のデートは任せてよ」
微笑んでだ。彼は千春に言ったのである。
「お金のこともね」
「いいの?」
「おばちゃん達ってね。凄く優しくてね」
ここでもおばちゃんとぽぽちゃんだった。やはり希望にとってはまことの親だった。
「お小遣いも凄いくれるんだ」
「そうなの」
「おばちゃん達って実はお金も結構持ってるんだ。ずっとこつこつ貯めてて」
「それを希望にくれてるのね」
「僕は子供みたいなものだって。二人にとっては」
二人にもそれぞれ子供がいるがだ。希望もだというのだ。
「だからね」
「そう言ってくれてなの」
「そう。だからね」
「今日は」
「全部任せて」
また言う希望だった。
「お金のこともね」
「うん、じゃあね」
「何でも欲しいものを言ってよ」
このうえなく暖かく嬉しいものになっている気持ちの中でだ。希望は千春に話した。
「買わせてもらうからね」
「希望の心なのね。じゃあ」
「僕の心って?」
「今日ここで千春が買うものは」
そのだ。アクセサリー達がだというのだ。
「そうなるのね」
「そうだね。プレゼントだからね」
「プレゼントは心だから」
「僕の心を」
「千春、貰うんだね」
「そうなるんだね」
「それじゃあね」
明るい笑顔になってだ。千春は希望に話していく。
「喜んでもらうね」
「うん、そうしてくれたら嬉しいよ」
彼にしてもそうだとだ。希望も笑顔で話す。そのうえで店の中、アクセサリー達を見ながらだ。彼は今度は千春に対してこんなことを言ったのだった。
「
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