第5節「砕けたシンフォギア」
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に手を振った直後、ガリィは空間に溶けていくように消えた。
「ッ!待て……くッ!」
「次は戦え……。でないと、お前達の何もかもをブチ抜けないからな」
キャロルも懐から同じアンプルを取り出し、足元に魔法陣を出現させる。
こちら……というより、響を見据えるその目には、憎悪とはまた違った感情が見えた気がした。
追いかけたい所だが、ギアも身体もとっくに限界だ。追撃されないだけありがたい、と思うべきだろう。
でも、まだだ……。今から、純達の……応援……に……。
「……託された……?わたしには……お父さんから貰ったものなんて、何も──……翔くん?翔くん!?翔くんッ!!」
そこで俺の意識は、泥の底へと沈むように、暗がりヘと落ちていった。
ff
「現在、状況確認中ですッ!」
「A3から6の出口、封鎖急げッ!……ッ!エージェント・マリアッ!?」
「げッ、黒服……」
人外だと確定した緑の女を、天ノ逆鱗で会場の更に真下まで叩き落とし、俺とマリィは翼と共に会場の外へと向かっていた。
敵の狙いは翼だ。なら、会場の外へ逃げた方が、被害を抑えられると判断しての行動だったんだが……。
仕事熱心な黒服が3人、エントランスの前でトランシーバー片手に待機していたのだ。
こんな時に都合の悪いッ!!
「あなたの行動は、保護プログラムによって制限されているはずッ!」
「エージェント・ツェルト、君も同様だ。勝手な行動は許されないぞッ!」
「んな事言ってる場合じゃねえんだよッ!」
こんな時まで頭の固い……いや、事情を知った所で、何かしら理由を付けて俺達を待機させるのは目に見えている。
「今は有事よ。車両を借り受けるわ」
「えッ!?」
しかし、こんな時でもマリィは毅然とした態度を崩さない。流石だ。
運転手さんには悪いけど、タクシーを拝借させてもらおう。
「そんな勝手は許されないッ!」
「ひいッ!?」
だが、黒服側もマリィから目を離せば上からのお叱りが怖い。
揃って銃を向けると、俺達に突き付ける。
怯える運転手さん。本当に申し訳ない。
相手は3人、どうするか……。
と、俺が打開策を思案しようとしたその直前、立て続けに三発、銃声が鳴り渡った。
黒服達の影に突き刺さる弾丸。同時に、黒服達に異変が起きる。
「なんだッ!?」
「身体が……動かんッ!?」
黒服達の背後を見ると、そこには黒いスーツのよく似合う、茶髪の日本人男性が立っていた。
翼のマネージャーにして、ジャパニーズNINJAの末裔。緒川さんだ。
〈影縫い〉
「緒川さんッ!」
俺達の方を見て頷く緒川さん。
しかし、俺達を追ってきた黒服がもう何人か、エントランスから向かってくる。
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